所長からのメッセージ 2005年11月

国連人口基金 東京事務所長 池上清子からのメッセージ

世界エイズデー(12月1日)にあたって

12月1日は世界エイズデーです。国連人口基金(UNFPA)も性と生殖に関する健康 との関連のなかで、HIV/エイズ 対策を重要視し、特にHIVの感染予防に重点的に取り組んでいます。

HIV/エイズは世界の全ての国で大きな社会的脅威となっています。日本も例外ではありません。HIV感染を減少させると共に、HIVに感染したりエイズを発症したりした人々をどう社会全体で支えていくのか、私たち一人ひとりが真剣に考えなければならないと思います。

1ヶ月ほど前にカンボジアを訪れる機会がありました。 カンボジアはアジアの中でも新規HIV感染の割合が高い国ですが、近年、HIV感染予防に力を入れており、成果も出始めています。昨年末に発表された政府の資料によれば、HIV感染者の割合は1990年代に急激に増加して1997年には国民の3%に上りましたが、その後少しずつ減り始め、2003年には1.9%ほどになりました。この減少の一つの要因は、HIV感染予防のためのコンドームの使用などを積極的に進めたことと考えられています。

とは言っても、明るい話ばかりではありません。実は、15歳から49歳の人々を見た場合、男性の感染者数は1998年をピークに減少に転じているのですが、女性の感染者数はほとんど減っていないのです。専門家は、最近の女性の新規感染者の多くが既婚者で、感染は夫からのものらしいと分析しています。夫が自分の感染を知らなかったり、知っていても妻にそれを知らせなかったりするために起きてしまっているのです。"妻に知らせない"というのは、HIV/エイズに対する社会的偏見があるために家族にさえそのことを隠す、という場合が多いのだそうです。

HIV感染は、HIV/エイズについての正確な知識をもち、それに基づいた行動をとることで、多くの場合防げます。自分が、あるいは自分のパートナーがHIV感染している可能性はないか。これ以上の感染を防ぐためには何をすべきなのか。あなたは自分のまわりのHIV感染者やエイズ患者に対して、いわれない偏見を持ってはいないか、そのために「感染している」と言えない人があなたのまわりにもいるのではないか。

――こうしたことを考え、自分にできることから実行するのが、私たちみんなの社会的責任ではないでしょうか。そうです、「グローバルに考え、ローカルに行動する」という有名な言葉の通りです。

世界エイズデーをきっかけに、HIV/エイズについて、もう一度、自分のこととして考えてみませんか。

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Last updated: 2005-11-01