プレスリリース 2003年11月

イラクの妊産婦死亡数、調査によると3倍近くに増加

2003年11月4日
国連、ニューヨーク

国連人口基金(UNFPA)のリプロダクティブ・ヘルス調査によると、イラクにおける妊娠・出産が原因で死亡する女性の数は1990年から3倍近くに増加した。2002年に報告された出生数10万件当たりの死亡数は310人であり、主な原因は出血、子宮外妊娠や長引くお産とみられる。この推計は1989年の117人を大きく上回る。また、流産も増加し、理由の一つにストレスや有害化学物質にさらされていることが挙げられる。

安全が確保されなくなり、コミュニケーション・輸送システムも弱化しているため、女性が医療施設にアクセスすることが困難になっている。その結果、以前より多い65%の女性が専門技能者の立ち会いなく自宅で出産している。

イラクの保健制度は悲惨な状態にあり、再建されなければならない。診療所は略奪の被害に遭い、水・電力の供給は中断され、医薬品や医療器具は大変不足している。調査によると、イラクには質の高い医療従事者が多いものの、制裁措置により10年以上も最新科学情報・技術にアクセス出来なかったため、彼らの技術は早急に更新されなければならない。

「リプロダクティブ・ヘルスの分野が迅速に改善されることは、イラクの再建に多大な貢献となる。」とトラヤ・オベイド国連人口基金事務局長は述べる。「ヘルス・ケアのインフラはあるが、それが整備され、強化されなければならない。国連人口基金はこれに力を入れていきたい。」

5割から7割の妊産婦は鉄欠乏性貧血、マラリアやその他の病に悩まされている。しかし、現在では1996年の78%を下回る60%しか産前ケアにアクセス出来ない。

また、供給が整っていないため、避妊実行率も低下している。多くの女性も男性も家族計画の方法を知らず、安全でない中絶が増加している。更に、人口の5割は15歳以下であるということから分かるように、イラクの人口は大変若く、10代の妊娠は増加しつつあるということにも調査は触れている。

「数百万人のイラクの若者が出産年齢期に突入しつつある。」とオベイド氏。「我々は彼らの健康を維持し、質の高い情報と適切なサービスを提供しなければならない。」

更に、バグダッドにおける性的暴力や拉致の件数は増加しているが、殆どの場合は報告されず、捜査されていない、と調査は述べている。医療従事者はこのような問題を対処するための訓練を受けておらず、また、レイプを報告することで被害者は社会的排除を始めとする様々な問題に直面することが多々ある。

国連人口基金の調査は、以下を2004年の優先分野としている。

•ヘルス・ケアに関するインフラの再建
•適切な医療器具、医薬品や必需品の提供
•緊急産科ケアが必要な場合のより高度な医療施設の整った病院への照会
•医療従事者の補習教育・訓練
•診断基準の開発
•イラク助産婦協会の設立
•リプロダクティブ・ヘルスのモニタリング(監視)の強化
イラク人口の7割以上がバグダッド、モスルやバスラなどといった大都市に住んでいることが、情報の伝達やリプロダクティブヘルス・サービスの普及を円滑に進めている。

この調査は、国際移住と健康センター (International Centre for Migration and Health)との共同で実施されたもので、マドリッドで行なわれたイラクの復興に関するドナー会議にて発表された。

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リプロダクティブ・ヘルス及び人口の支援プログラムを実施する世界最大の国際機関である国連人口基金は、イラクでリプロダクティブ・ヘルス及び家族計画サービスへのアクセスを向上させるため、1972年から活動を展開している(90年代前半に一度中断)。その結果、一次医療施設が1995年の37から 2001年には146まで増加した。

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カリブ海諸国はリプロダクティブ・ヘルスと男女の平等を再確認する~1994年のカイロ計画は開発目標に不可欠であると表明~

2003年11月12日
トリニダードトバゴ、ポートオブスペイン

20のカリブ海諸国・地域は今日、1994年の国際人口開発会議(ICPD)における行動計画への明確なコミットメントを再確認した。彼らはまた、計画の実施は極度の貧困と飢餓の根絶を含む「ミレニアム開発目標の達成に必要不可欠である」と宣言した。

今回の会合は、10年近く前に採択されたICPD行動計画の実施の進捗状況を評価するためのもので、各国はリプロダクティブ・ヘルス/ライツや男女の平等、女性のエンパワーメントを保障することを約束した。また、思春期の若者が、青年に向けたセクシュアル・ヘルスやリプロダクティブ・ヘルスについての情報や教育、サービスを受ける権利を持っていることも確認された。

また各国は、HIV/AIDSをカリブ海地域の経済・社会構造に対する主要な脅威と考え、リプロダクティブ・ヘルス計画に照らして、この流行病に対し予防や治療、ケアを通じて取り組むことを約束した。

より広範な問題に関しては、カリブ海諸国の人口・経済・社会が受けてきた損害の主因は、構造調整計画や重債務返済、不公平な貿易慣行により損害を受けてきたと述べた。各国は国際援助ドナー国に対し、ICPD行動計画実施のためのさらなる資金援助を求めた。

2日間の会議の冒頭で、トリニダード・トバゴ計画・開発相(Minister of Planning and Development)カミル・ロビンソン・レジス(Camille Robinson-Regis)氏は1994年のカイロ会議を「思索や構想において画期的であった」と評した。

「人口問題とは数字上の問題だけではない。それは、日常的課題を抱えながらも、呼吸をして生きている人間個々人の生活の問題なのである」と彼女は述べた。「それは男女の平等・公正やジェンダーに基づくあらゆる暴力の排除に関する問題である。またそれは、望まれた子どもの準備、そして彼らに健康な小児期を提供することに関する問題でもある。それは全人類の生活水準向上の問題なのである。」

トリニダード・トバゴの人口と開発に関する国家政策は、カイロ計画とそれが掲げる持続的経済成長、母子死亡数の低減、リプロダクティブ・ヘルス・サービスへのアクセス向上といった目標に導かれているとロビンソン・レジス氏は述べた。

国連人口基金(UNFPA)ラテンアメリカ・カリブ海地域局長(Director of the Latin America and the Caribbean Division)マリセラ・パドロン(Marisela Padron)氏は、財源的制約の下で、カリブ海諸国のICPD計画実施への試みを指導した。彼女は、各国は乳児・妊婦の死亡数を削減したものの、全ての人のリプロダクティブ・ヘルスサービスへの平等なアクセスを保障するためには、さらなる努力が求められると語った。

彼女は「国連人口基金は、カリブ地域の女性たちが健康で望まれた赤ちゃんを産むことを望み、リプロダクティブ・ヘルスに配慮しリプロダクティブ・ライツを尊重する養育環境で子供を育てるために生きることを求める限り、彼女たちを擁護し続ける。また国連人口基金は、カリブ海地域の男性たちがリプロダクティブ・ヘルス計画に従事する限り、彼らを擁護し続ける。また国連人口基金は、彼らが男女の平等を促進し、ジェンダーの暴力に取り組む限り、カリブ海地域の社会を擁護し続ける。」と公言した。

会議はラテンアメリカ・カリブ経済委員会(Economic Commission for Latin America and the Caribbean)準地域本部で開かれた。委員長代理ダニエル・ブランチャード(Daniel Blanchard)氏は、委員会の使命は、カリブ海諸国政府がグローバル又は地域的なコミットメントを国家活動計画に移す手助けを行うことにあると語った。

この会議の成果は、ラテンアメリカ・カリブ海地域全体のカイロ計画実施の来年度評価に反映されることだろう。

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世界は女性への暴力に対して容認しない姿勢を促すべきである、と国連人口基金

2003年11月25日
国連、ニューヨーク

女性と女児の安全は家・路上・職場・学校で確保されなければならない、と国連人口基金(UNFPA)事務局長のトラヤ・オベイド氏は女性に対する暴力撤廃の国際デーに際して表明した。多すぎる人数の女性が恐怖に生き、数えきれない人数が命を落としている、とオベイド事務局長は述べた。

国連人口基金はジェンダーに基づく暴力をなくすように主張している。「暴力が続く限り、平等・開発・平和にむけて着実に進歩しているということは言えないのです」と事務局長は話した。「レイプ、妻への暴力、名誉という名の殺人を、あとどれだけの女性が耐えなければならないのでしょうか。また、どれだけの女性が酸により傷害を負い、ガソリンをかけられ焼かれなければならないのでしょうか。犯罪者が刑罰を免れるのはいつまで続くのでしょうか」とオベイド事務局長は各人に考えてもらうよう促した。

大規模で組織的な女性に対する人権侵害は、大規模で組織的な対応を必要である、と事務局長は話す。全ての政府に対して介入の意気込みを見直するようオベイド氏は要請し、更に、宗教や地方のリーダー、家族や地域社会に対しては、ジェンダーに基づく暴力に立ち向かうべきである、と主張した。

オベイド氏は、このような犯罪を撲滅させるための活動に従事してきた世界中の人々の成果を認めているが、まだ多くの課題が残されていると強調した。また、「警察と軍人は、女性の権利を守るように訓練されなければなりません」とオベイド氏は話した。「女性と女児に対する暴力を罰するような法律が強化され、履行される必要があります。そして、生存者に対して住居・カウンセリング・医療ケアを提供するサービスも緊急に構築されなければなりません。」

国連人口基金にとって、女性と女児に対する暴力を撲滅することは優先すべきことである。東ティモールでは、演劇団体を通じて国連人口基金は地域社会に強いメッセージを送った。国連人口基金は家庭内暴力(ドメスティック・バイオレンス)に対応出来るよう警察官の訓練も行っている。更に国連人口基金は、政府・地域・教会・女性団体からの代表と連携している。

11月25日の女性に対する暴力撤廃の国際デーに際して、国連人口基金は『女性、戦争、健康』と題した3分間の映像をウェブ上にて公開した。9ヶ国語に訳されたこの映像は、戦争下や難民状態におかれている女性の健康を守る必要性を強調している。コソボからコンゴまで、戦争の武器としてレイプが使用されることは、驚くほど広がっている。国連人口基金はパートナーと共に、性に基づく暴力を最小限に留め、被害者には治療を提供し、妊産婦の命を救う医療器具・医療支援を供給し、HIV/エイズの蔓延を防ぐために活動を展開している。

映像は以下のURLで見ることができる。

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