プレスリリース 2003年12月

フィスチュラは南アジアで広範囲にわたる大きな課題となっている、と国連人口基金

2003年12月12日
国連、ニューヨーク

バングラデシュのダッカにて開催された第1回フィスチュラ予防において治療の南アジア会議(South Asia Conference for the Prevention and Treatment of Fistula)で国連人口基金(UNFPA)は南アジアの何万人もの女性の一生を打ち砕いてしまうフィスチュラ(膣のろう孔、訳注:膣部に外傷・潰瘍などによってできた穴)が最も悲惨な妊娠による障害である、と述べた。バングラデシュだけでも40万人以上の女性がフィスチュラの障害を負っている。

3日間に渡る会議では50人の保健専門家により南アジア地域のフィスチュラ問題とその解決策について議論がなされた。バングラデシュ政府はフィスチュラ問題に取り組み、サービス提供者を訓練する中核的研究機関の建設のために国立フィスチュラ・センターを設立することを表明した。バングラデシュ保健家族大臣(Bangladesh health and Family Welfare Ministry)のカンダカー・ホセイン(Khandaker Masharraf Hossain)氏は、「国連人口基金の協力の下、フィスチュラ・センターを設立することは女性の地位向上にとって実に大きな一歩である」と述べた。

分娩に伴って発生するフィスチュラは女性が長時間に渡る遷延分娩(難産)の際に適切な医療を受けられない場合に起きる。胎児の頭が母親の産道を圧迫し、その結果、母親の膀胱と膣及び直腸が腐敗して孔となりフィスチュラが形成される。胎児は通常死亡し母体も(訳注:膀胱や直腸との間に穴が生じることで)尿漏れや便漏れを経験することになる。フィスチュラの社会的影響は破滅的であり、この障害を負った女性は大変な屈辱を味わうことになる。この女性は多くの場合夫に拒絶され、コミュニティーからも排斥され、そのような状態になったことを彼女自身の責として非難されるのである。

フィスチュラに関する確実な資料は十分にないが、アフリカと南アジアで200万人もの女性がフィスチュラを抱えていると推定されている。「十分なデータが無いという事自体が、この問題の根深い性質をよく表している。」とフィスチュラに関する特別大使(UNFPA special Ambassador on Fistula)のナフィス・サディク(Dr. Nafis Sadik)氏は言う。「フィスチュラは貧困状態におかれている人、若年層、そして女性に影響を及ぼす。であるにもかかわらず、フィスチュラが国民健康政策の優先課題に挙げられていない。我々はそのような現状を変えるために会合している。」と述べた。

フィスチュラは予防でき、手術により治療可能である。専門家は貧困、医療の質の低さや女性に対する社会的差別がフィスチュラと密接に関係しているという事が知られている。以下がフィスチュラを予防するための方法である。

•20歳以下の女性は難産を経験しやすく、出産中に胎児の死亡する可能性が高いため、初産年齢を遅らせること。
•女性が出産を計画し出産間隔を空けられるよう、家族計画を提供すること。
•妊婦のための産前ケアへのアクセスを向上すること。
•合併症の感知と必要な場合のより高度な医療設備の整った病院へ転送できるようにするため、出産時における専門技能者の立会いを提供すること。
•女性が帝王切開などの医療を受けられるよう、安価でアクセスしやすい緊急産科ケアを提供すること。
ダッカの会議に出席した専門家はフィスチュラを抱えている全ての女性に対して治療を提供し、手術を行える施設を設立し、手術やリハビリを提供できる人材を育成することが必要であるということを検討した。また、各国のフィスチュラ発症の特徴を分析することが必要であるとし、この分野での南南協力も求めた。

10月に国連人口基金はエチオピアとオーストラリアのフィスチュラ専門の外科医を支援して、バングラデシュの現地医師や看護士20人をトレーニングした。その期間中にこの外科医達は40回も手術を行って女性患者達を治療した。

国連人口基金はフィスチュラ撲滅に向けた初めてのグローバル・キャンペーンを先導している。長期目標はアフリカやアジアにおいても先進国のようにフィスチュラをめったに起こらない障害にすることである。このキャンペーンは20カ国以上で支援している。詳しくはwww.unfpa.org/fistulaを参照。

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国連人口基金への拠出国、史上最多

2003年12月19日
国連、ニューヨーク

国連人口基金(UNFPA)は2003年度に国連加盟国191ヶ国のうち142ヶ国から拠出金を獲得し、この数はUNFPA史上最多を記録した。最大拠出国はオランダ、日本、ノルウェー、英国、デンマークとスウェーデンである。

「拠出国数は我々の期待以上であった。」とトラヤ・オベイド 国連人口基金事務局長。「これは世界の各地域の国々が国連人口基金を評価し、我々の活動を支持する強力な政治的意思が存在するということを証明している。」

1999年からドナー国の数は2倍以上に増え、69カ国から現在の142ヶ国まで増加した。2003年に新たにドナー国として加わったのはアルメニア共和国、アゼルバイジャン共和国、エストニア共和国、ハンガリー共和国、マケドニア共和国、モルドバ共和国、ソマリア、スワジランド、タジキスタン、東チモールとウズベキスタン共和国である。国連人口基金への2003年度の拠出金額はおよそ2億9400万ドルであった。

「国連人口基金は途上国における女性の妊娠や出産をより安全にし、HIV感染を防ぎ、カップルが家族計画を立てられるよう、そして望まない妊娠を回避できるようにするための支援を積極的に行っている。」とオベイド氏。「現在では、我々が活動する150カ国にてリプロダクティブ・ヘルスの需要を満たすことができるようになった。」

国連システムの中において国連人口基金は、1994年の国際人口開発会議(ICPD)での合意目標に達成するよう促進しており、このICPDの目標には 2015年までに全てのカップルや個人がリプロダクティブヘルス・サービスにアクセスできることなども含まれている。しかし依然として拠出総額はこの目標実現のために必要な金額に達していない。2001年の支援額は25億ドルであり、これはICPDにて合意された額の半分以下である。

HIV/エイズの新規感染の約半数は15歳から24歳の若者の間で発生しているため、HIV/エイズは若者の病気となりつつある。しかし、若者の大半はそのウイルスの感染経路さえ知らない。3億5000万のカップルは安全かつ効果的で安価な避妊薬(具)を入手することができず、また、途上国における出産の約半数は専門技能者が立ち会うことなく行われているのである。

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アラブの議員連盟が各国政府にリプロダクティブ・ヘルスのニーズを満たすよう要請~国連人口基金はラバト宣言を歓迎する~

2003年12月22日
国連、ニューヨーク

アラブ諸国の議員たちは今月初め、人口とリプロダクティブ・ヘルスプログラムの資金不足によって各国間の貧富の差は拡大しており、妊産婦死亡数やHIV/AIDSへの感染は拡大している、との認識を表明した。

モロッコのラバトで開催された人口と開発に関する第4回アラブ国会議員フォーラムにおいて、各国議員は1994年の人口と開発に関するカイロ国際会議(ICPD)において179の政府によって採択された行動計画の履行公約を尊重するよう各国政府に要請した。ラバト宣言はまた、ドナー各国に対しても、現行のリプロダクティブヘルス・サービスに対する援助とカイロ宣言で設定された目標値との大きな差を解消することを要請している。

「ラバト宣言はアラブ世界における人口とリプロダクティブ・ヘルス問題の緊急性を反映している」と、トラヤ・オベイド国連人口基金(UNFPA)事務局長は述べる。「国連人口基金は、アラブの議員たちがこれらの問題を各国の開発計画の優先課題に掲げたことを歓迎する」

議員団によると、世界でも最も高い人口成長率をもつアラブ諸国は、雇用機会の減少と貧困・栄養失調の増加に苦しんでいるという。こうした社会的状況の中で青少年達は絶望感・無気力感、過激主義、自分達の健康や社会にとって危険を及ぼす行為として彼らの憤りを表現しているのだ、と議員団は述べる。

この問題の解決のため、議員たちはアラブの若者に学問・職業教育を与え、適切な雇用機会を創出するための努力を強化すると公約した。議員たちはまた、性やリプロダクティブ・ヘルスに関する青少年の権利を明確に保障する法律を制定し、青少年がそれらに関する正しい意思決定や選択ができるようにするとも誓った。また、学校のカリキュラムに生殖や性に関する保健教育を取り入れ、ピア教育を推進するよう政府に要請した。

ラバト会議の出席者達は、開発における女性の重要な役割を認識し、女性の権利を保障する法律を通過させ、教育や雇用におけるジェンター格差を解消し、女性に対するあらゆる暴力を予防すると約束した。議員たちはまた、セクシャル・ハラスメントと戦い、女性性器切除などの健康を害する行為の解消のために働くことを誓った。

アラブの議員たちはまた、国連人口基金の各種プログラムに文化と価値を取り入れる試みを引き続き取り組むよう国連人口基金に要請するとともに、その活動への支援を再確認した。

ラバトフォーラムには、アラブ15ヶ国の国会議員、国連機関や国家家族計画協会を含むNGOの代表が出席した。

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