プレスリリース 2004年2月

セクシュアル・ヘルスおよびリプロダクティブ・ヘルス・ケア分野への多大な投資効果を示す報告書

2004年2月3日
英国、ロンドン

セクシュアル・ヘルスおよびリプロダクティブ・ヘルス・ケアの欠落は、世界中の疾病・早産による死亡原因の2割、特に出産年齢女性の死亡・疾病理由の3分の1を占めている。本日発表されたアラン・グッドマッハー研究所(AGI)およびUNFPAによる新しい報告書Adding it Up: The Benefits of Investing in Sexual and Reproductive Health Careによると、費用対効果の高い投資によってこの不足を補うことが出来、何百万人もの命を救うことができるという。

経済・社会・健康分野へ投資がもたらす多様な便益を、政策立案者や政府およびドナーは非常に過小評価している、と同報告書は強調している。リプロダクティブおよびセクシュアル・ヘルスを向上させることは2000年に定められたミレニアム開発目標を達成するうえで不可欠なのである。

このAdding it Upは、本日ここロンドンでの記者会見においてトラヤ・オベイド(Thoraya Obaid)国連人口基金事務局長およびシャロン・キャンプ(Sharon Camp) AGI所長によって発表された。このレポートでは (1)HIVを含む性感染症の予防・診断・治療、(2)妊産婦の健康、(3)望まない妊娠を防ぐ避妊関連サービスおよび避妊具・薬の供給、といった3つの主要分野への投資が社会や個人に与える広範囲の影響を例示することによって、特に貧困国におけるセクシュアル・ヘルスとリプロダクティブ・ヘルス・サービスへの資金供給の増加を根拠付けている。

健康に与える潜在的な効果を顕著に示す一例としてこの報告書では以下の事実を指摘している。すなわち、現在、開発途上国で実施中の「妊娠を望まない女性」5億人に対する避妊具・避妊薬提供プログラムが以下のような状況を毎年予防できているという事実である。

•1億8700万件の望まない妊娠
•6000万件の計画外出産
•1億500万の人口妊娠中絶
•2200万件の流産
•270万件の乳児死亡
•21.5万件の妊娠に起因する死亡
•68.5万人の母親を失う子供達
また同報告では、避妊具・薬およびサービス供給の世界的に深刻な不足も訴えている。妊娠を望まない女性が近代的避妊具薬を得られるようになるためには、一年あたり、現状よりも更に39億ドルの出資を要するが、この増資により、年間で更に150万人の女性と子供の命を救い、人口妊娠中絶を64%減らし、妊娠関連の疾病を減らし、延べ2700万年分の健康な生活を保障することが可能になる、としている(一年たった144ドルのコストで健康な生活を送れるため)。

セクシュアル・ヘルスおよびリプロダクティブ・ヘルス向上の効果は、サハラ以南のアフリカ、北アフリカ、西および南アジアなどの、サービス提供がもっとも稀薄で健康への負荷の高い貧困国において、特に顕著に表れると考えられる。

セクシュアル・ヘルスおよびリプロダクティブ・ヘルスへの投資は健康面での大きな便益をもたらすとの強い立証は出されてきたが、医療面以外での便益は数値化・計量化が困難であることもあり、これまで過小評価されてきた。この報告では、広範囲にわたる調査研究と様々の手法を援用しながら、経済的社会的便益を可視的に示す試みをしている。

例えば、セクシュアル・ヘルスおよびリプロダクティブ・ヘルスの問題は男女の青春期に影響するため、セクシュアル・ヘルスおよびリプロダクティブ・ヘルス・サービスの提供は以下のことに貢献する。

•家族規模の縮小による、家族全員、特に女子へのより多くの教育の機会
•高い貯蓄および経済成長を伴う、より健康で、ゆえにより生産性の高い労働力
•より高い社会的および政治的参加の水準
•妊産婦の健康問題、家族への助成金および孤児への支援に関する公的支出の削減
Adding it Upは、開発途上国における個人消費者、中央政府および非政府組織が、総支出の内の4分の3以上をセクシュアル・ヘルスおよびリプロダクティブ・ヘルス・ケアの分野へ投じていることにも言及している。ドナー諸国は、1994年の国際人口・開発会議で公約した拠出水準を大きく下回っている。

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国連人口基金は、人口分野における世界最大の国際機関で、開発途上国へ向けたリプロダクティブ・ヘルスへの支援、持続可能な開発のための人口データの使用を支援している。

アラン・グッドマッハー研究所(AGI)は、セクシュアルヘルスおよびリプロダクティブ・ヘルスの研究、政策分析および学校教育のための非営利組織である。
www.guttmacher.org

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ウガンダで大統領夫人も支援するフィスチュラ・キャンペーンが始動

2004年2月13日
国連、ニューヨーク

ウガンダで今週、妊娠関連のあらゆる身体障害の中でもっとも深刻なものであるフィスチュラを撲滅するための全国運動が、大統領夫人ジャネット・ムセベニ(Janet Museveni)の参加を得て始動した。このキャンペーンを通じて、12の地域病院はフィスチュラ手術に大いに必要な医療機器の提供を、地域の医師は手術や術後ケアの訓練を受けることになる。この問題についての意識を広めるためのアドボカシー(政策提言)活動も行われ、また、医療機関のカリキュラムにフィスチュラについての研修を含める取り組みも行われる。

フィスチュラの根本的原因は、貧困、不十分な妊産婦医療サービス、そして女性に対する社会的差別である。大統領夫人はまた、ウガンダにおける母性保護と HIV/エイズの問題についても取り組んできた経歴を持つ。保健省の代表、宗教的・文化的指導者を含む、約150名の参加者がカンパラでの出陣式に参加した。

妊産婦のフィスチュラは予防・治療が可能な病気であるが、開発途上国ではいまだに200万人以上の女性が治療を受けられずにいる。フィスチュラは長時間に及ぶ閉塞的な陣痛と、それを和らげる適切な医療措置(殊に帝王切開)の欠如との組み合わせによって発症する。発症した場合、母親には慢性的な失禁障害が残り、ほとんどすべての新生児は死亡する。

キャンペーンの出陣式において、国連人口基金(UNFPA)ウガンダ代表ジェームス・クライア(James Kuriah)は、「フィスチュラは新聞の見出しになるようなタイプの病気ではない。なぜなら犠牲者は、スティグマ(汚辱)によって恥じ入り、打ち明けることをためらうからだ」と述べた。「私は、この不幸に冒された何千人もの女性に希望を与えることに、我々一人ひとりが貢献できることを確信している」

2003年に行われた基礎調査が、こうしたキャンペーン活動を方向づけた。国内の少なくとも4つの病院がフィスチュラ手術を提供しているが、そのいずれも、フィスチュラ患者の増加、フィスチュラ治療の訓練を受けた手術医の不足、手術室の不足と不十分な設備、そして手術を待つ多くの女性たちを診療する訪問医への高まる依存などといった、同じような問題に直面している。

ウガンダの女性の約60パーセントが自宅出産を行い、熟練助産師の立ち会いの下で行われる出産はわずか38パーセントである。同国は過去数年間にわたり、妊産婦死亡率数の減少、国内病院数の増加、遠隔地への熟練医療従事者の配置などの一貫した努力を行ってきた。

国連人口基金は現在、フィスチュラ撲滅のための史上初の世界的キャンペーンを展開している。その長期的目標は、開発途上地域におけるフィスチュラを、今日の先進国並みの水準に引き下げることである。キャンペーンは現在、サハラ以南のアフリカ、アラブ地域、南アジア地域の20以上の国々に対して支援を行っている。ウガンダでのフィスチュラ・イニシアティブはビル&メリンダ・ゲイツ財団とフィンランド政府からの多額の無償資金による援助を受けている。

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セクシュアル/リプロダクティブ・ヘルスの取り組みにHIVに関するカウンセリングと検査を加えるための新ガイドライン誕生

2004年2月17日
英国、ロンドン

深刻なHIV/AIDS問題に対応するため、国際家族計画連盟(IPPF)と国連人口基金(UNFPA)は「VCT(HIVに関する自発的カウンセリングと検査)サービスをリプロダクティブ・ヘルスと結合」させるため、プログラムの立案者、管理者や提供者に対する新しい行動指針(ガイドライン)を発表した。

HIV/AIDSは人々の健康および社会・経済の安定に深刻な影響を与え続けている。自発的カウンセリングと検査は、HIVへの感染予防を促し、また、 HIVに関連する病気の治療、母子感染の防止、結核の制御、そして心理的法的サポートへと繋がる重要な手段である。しかし、VCTはあまりに大抵の場合、人々の全般的な性と生殖に関する健康ニーズを満たすサービスとは切り離されて別個に提供されている。

・なぜVCTを性と生殖に関する健康サービスに統合すべきなのか?

2つの地域(コートジボワールとインドで2ヶ所ずつ)で実施されたパイロット・プロジェクトの結論から、VCTを性と生殖に関する健康への取り組みに含めることで多大な便益が生まれることが明らかになった。それは、HIV/AIDSにまつわるスティグマ(否定的な意味合いを持つ社会的認識)を減らし、健全な性行動への意識を高め、サービスへのアクセスおよび利用増加を促すからである。また、既存の資源やインフラの活用で済むため、費用節減にも繋がる。

この新ガイドラインは上記の地域およびケニヤ、ルワンダ、そしてエチオピアでの経験を踏まえて策定されている。ガイドラインは、内外の成功例を取り上げた先行研究を援用しながら、幅広いパートナーとの協働によって策定されたものである。

・段階的アプローチ

性と生殖に関する健康への取り組みの中にHIV/AIDSのVCTを統合するために、新ガイドラインは、包括的サービスの効果的策定、実施、監視、そして評価のための段階的アプローチを示すことで、政府・非政府の供給者に実用的な情報を提供している。

「HIV/AIDSの蔓延を防ぐ取り組みはそれ単独では成功しない」とスティーブン・シンディング(Steven Sinding)国際家族計画連盟事務局長は語る。「人々の性と生殖に関するニーズに、協議的・全体医療的観点から取り組むことによってのみ、HIVウィルスが引き起こした致命的な状況に歯止めをかけることが出来る。」トラヤ・オベイド国連人口基金事務局長は付け加えた。「HIV予防とリプロダクティブ・ヘルスを関連付けることで、HIV感染に脆弱な何百万人の人々、特に女性に手を差し伸べることが出来る。我々は、VCTと効果的な予防の障害となっているスティグマや差別を乗り越えなければならない。」

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4万もの診療所を通じて2400万人以上の人々を扱う、世界最大の性と生殖に関するサービス提供者であるIPPFは、HIV/AIDSの蔓延を阻止するために重要な役割を果たしている。リプロダクティブ・ヘルスと人口問題に関するプログラムを支援する世界最大の拠出機関であるUNFPAは、HIV予防とリプロダクティブ・ヘルスの統合を支援している。

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