プレスリリース 2004年4月

国連人口基金、スーダン難民へ緊急医療用品を急送
スーダン及びチャドにおける難民のリプロダクティブ・ヘルスを保護するための資金を要請

2004年4月2日
国連、ニューヨーク

国連人口基金(UNFPA)はスーダン西部のダルフルで発生した紛争により難民化した何千の人々に対して、安全な出産のための器具、輸血器具、性感染症予防の医薬品やその他リプロダクティブ・ヘルス関連用品を急送した。また、国連が2日に発表した3010万ドルの諸機関合同要請の一部として、国連人口基金は緊急保健医療支援を隣国チャドに避難した11万人のスーダン難民に提供できるよう、ドナー国に25万ドルを要請している。

スーダン国内では、国連人口基金は国際救済委員会(International Rescue Committee, IRC)、セーブ・ザ・チルドレン・UK(Save the Children UK)やアイルランドの団体ゴール(GOAL)を通してリプロダクティブ・ヘルス用品を難民キャンプや保健医療施設に配付している。また、スーダンで活動する国連人口基金のチームは、フランス・ベルギー・オランダの国境なき医師団(Medecins Sans Frontieres, MSF)とともに、難民に対するジェンダーに基づく差別の防止・ケアにあたっている。

昨年から事態が悪化している紛争により、隣国のチャドには11万人以上のスーダン難民が避難している。国連人口基金はチャドにもリプロダクティブ・ヘルス用品や器具を送るいっぽう、妊産婦や乳児の死亡率、性感染症の感染件数や望まない妊娠の数を減らすため、諸機関合同要請の一部としてドナー国に25万ドルを新たに要請した。さらに、国連難民高等弁務官(UNHCR)や実施パートナーのMSFベルギーとケア・カナダ(CARE)と連携することにしている。

チャドにいる難民のうちの75%が女性である。難民生活では妊産婦や新生児が妊娠・出産による合併症で命を落とす危険性が高くなるが、その理由は緊急産科ケアへのアクセスが困難になり、栄養失調や伝染病にかかるリスクや非衛生的な状況の中での出産が増加するためである。性暴力やHIV/エイズを含む性感染症の蔓延も、社会不安や人口移動に伴い増加傾向をみせる。

こうした問題に対処すべく、チャドにいるスーダン難民への国連人口基金が要請した支援資金の用途は以下のとおりとなっている。

•被害者に対するサービスの提供や地域社会を安全な難民キャンプの構築に参加させることで、性暴力を防止し、その被害に対応する。
•保健医療分野のパートナーと連携しながらユニバーサル・プリコーション(普遍的予防策)を実施し、安全な輸血を可能にし、コンドームを無料で提供することでHIV感染を抑える。
•妊娠第3期にある妊婦全てに安全な出産器具を提供し、保健医療施設における出産が安全で衛生的であることを保証し、また、出産時に緊急事態が発生した際の病院照会制度を構築することで新生児・妊産婦の死亡及び病気を防ぐ。

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青少年リーダー、若者の権利やニーズについてUNFPAに助言

2004年4月20日
国連、ニューヨーク

国連人口基金(UNFPA)は、国家開発計画において青少年の権利やニーズをいかに反映・普及させるかその方法について、世界各国の青少年代表からなる国際代表団に助言を求めることを決定した。また代表団は、世界で展開される国連人口基金の活動が青少年への配慮に富み、青少年に関わる問題、特に性生活・生殖に関する問題、HIV/エイズやジェンダーに関する問題に対し十分かつ適切なものであるよう諮問していく予定である。

ニューヨークで行われた会議は二日間にわたり、その中で青少年諮問委員会(Youth Advisory Committee)が組織された。委員会のメンバーは国内、地域、そして国際的な青少年ネットワークの代表20人で構成され、各委員は青少年を国連人口基金の活動プログラムとどのようにしてよりよく連関させていくかについて意見を取り交わした。4月15、16日の両日行われたこの会議では、委員自身が抱えている課題―プログラムの実施や大人や他の青少年との関わりかたにおける課題―についても議論が交わされた。

会議の中でトラヤ・オベイド国連人口基金事務局長は、「今日の世界から明日の世界への進歩はみなさんにかかっているのです。みなさんの存在とみなさんの意見はわたしたちにとって必要不可欠なのです」と発言し、世界の青少年の権利とニーズを代表する諮問委員会の役割を有権者の声を反映させる議会のそれになぞらえた。

青少年のリプロダクティブ・ヘルス/ライツやニーズへに対する国連人口基金の長年の活動は、こういった諮問委員会の設立によく反映されているだろう。青少年諮問委員会の目的は、若い世代が自分たちの関心や問題について発言できるよう啓発することである。しかし同時に、委員会設立によって国連人口基金は青少年や若者を支援する団体との意見交換の場をもつことになり、青少年のニーズにより効果的に対応できるよう助言を受けられることになる。さらに、委員会が青少年のリプロダクティブ・ヘルス/ライツの現状や傾向を明らかにすることで、青少年を対象とするプログラムの決定プロセスに青少年が参加できるようになる。

委員会メンバーの一人国際家族計画連盟(IPPF)青少年代表ウペカ・デ・シルバ(Upeka De Silva)氏は、青少年のリプロダクティブ・ヘルスが全ての開発計画に反映されるよう働きかけていくことを約束し、「計画に青少年自身を参加させていく過程は、その結果と同じくらい重要なことだと思います」と話した。

「若者の文化を国連人口基金の活動に取り入れることは良い結果をもたらすとともに未然に意見の対立や軋轢を回避することにもなるでしょう」とガーナにあるアフリカ青少年連盟(African Youth Alliance)のイシュマエル・セラシ・グベゼハ(Ishmael Selassie Gbedzeha)氏は言う。さらに、グベゼハ氏は諮問委員会の強みとしてメンバーの多様なバックグラウンドを挙げ、国連人口基金の活動を成功に導くものだと付け加えた。

オベイド事務局長は委員に対し、文化、HIV/エイズ、そして青少年の早婚という3つの問題に焦点を当てるよう要請した。今日の若者が伝統的な価値観と拡大しつつあるグローバルなモダン文化の狭間に立っていることをうけて、事務局長は若者文化と親・家族・地域社会の文化とのギャップにどんな橋渡しが可能であるか、各委員の意見を求めた。

さらに、オベイド事務局長は毎日約6,000人の青少年がHIV/エイズに感染していることにふれ、男女がお互いを尊重し支えあえるよう、ジェンダーの平等の普及について助言を求めた。また、「思春期の若者の多くが結婚を理由に性交渉をもっている」と述べ、早婚は権利の乱用であるとの考えを示した。しかし、結婚している思春期の若者のニーズを満たすリプロダクティブ・ヘルス・サービスが欠如しているため、ニーズは認識されていないことが多い。

女性の多くが早婚で、時にはわずか10歳で結婚させられている。こうした事実をふまえ、オベイド事務局長は、結婚している少女の両親や家族、そして彼女たち自身のニーズを聞く必要があると述べて、より効果的に適切なサービスを提供できる方策について諮問委員会メンバーに意見を求めた。

先進国・途上国両方からの参加による委員会メンバーは、一億人以上の青少年を代表している。メンバーは1994年の国際人口開発会議(ICPD)で合意された原則の中でも特にリプロダクティブ・ヘルス/ライツに対する貢献度に応じ選出され、任期は最長2年となっている。委員会は毎年開かれるもので、メンバー同士はeフォーラムを通じて定期的に情報交換を行うことにしている。

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人口学者ジョン・コールドウェル氏及びアジスアベバ・フィスチューラ病院が2004年国連人口賞受賞

2004年4月26日
国連、ニューヨーク

世界的に著名な人口学者, ジョン・コールドウェル氏(John C. Caldwell)と出産時の傷害における治療の開拓者である、アジスアベバ・フィスチューラ病院が2004年度国連人口賞を受賞した。この賞は、人口分野及び個人の健康と福祉の改善にすばらしい業績をあげた人物と機関に与えられるものである。

イフェカール・アフメド・チュードゥリーバングラデシュ大使(Ifekhar Ahmed Chowdhury)が議長を務める国連人口賞選考委員会は、世界中から推薦された候補者を審査した結果、2人の受賞者を選出した。選考委員会は国連の加盟国代表で構成され、国連人口基金(UNFPA)が事務局になっている。授賞式はニューヨークの国連本部で7月に行われ、受賞者には賞状、メダル、賞金が贈呈される。

選考委員会に送られた推薦状によると、個人部門での今年の受賞者であるコールドウェル氏は、人口学の分野で最も影響力がありかつ多くの業績を残している学者の1人である。氏の発表した論文は300本以上をかぞえ、アフリカでのHIV/エイズの流行を人口学的、疫学及び社会文化的現象として捉えた氏の研究は他に類を見ないものである。また、氏の1976年の論文「人口転換理論の再考に向けて(Toward a Restatement of Demographic Transition Theory)」は、世代間における富の流れの方向変化について考察しているが、この分野においては唯一最も影響力のあるものとされている。氏の研究は主としてサハラ以南のアフリカとアジアに集中している。現在、コールドウェル氏はオーストラリア国立大学キャンベラ校社会科学研究所の人口学の名誉教授である。

アジスアベバ・フィスチューラ病院は機関としてすばらしい業績をあげたとして、2004年度国連人口賞を受賞した。同病院は1974年に設立され、フィスチューラの女性の治療や診療を専門としていることでとくに知られている。フィスチューラとは、出産時に女性の産道が傷つけられたことによって、常に失禁が続く状態になってしまう壊滅的な出産時傷害である。同病院では、年に1,200人以上の女性を無料で診療し、今までに25,000人以上の女性を治療してきた。治療にはフィスチューラに苦しむ人々の健康と尊厳を回復させるための包括的なアプローチをとっており、識字クラス、物理療法、そして女性たちが完治した際に再び地域に復帰できるようなサポートも行っている。同病院は、エチオピア国内のみならず開発途上国に対しても外科技術の訓練機関としての役割を果たしている。

国連人口賞選考委員会のメンバーは経済社会理事会によって選出され、任期は3年である。現在のメンバーは、アルジェリア、バングラデシュ、ベラルーシ、カメルーン、ガイアナ、イラン、ケニア、オランダ、ペルーから選出されている。コフィ・アナン国連事務総長とトラヤ・オベイドUNFPA事務局長も職権上、委員会のメンバーとなっている。

2004年度国連人口賞には、個人部門、機関部門でそれぞれ5人、全部で10人の候補がいた。候補者は、国連加盟国、人口関連の活動をしている政府間組織、国連諮問機関としての資格を有している人口分野のNGO、人口及び関連分野の大学教授、人口関連機関の機関長、そして過去の受賞者によって推薦される。

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