プレスリリース 2004年5月

スーダン西部で女性が民族紛争の矢面に立たされていると国連人口基金が警告
~妊産婦救助と性暴力に対応するための緊急援助措置~

2004年5月4日
スーダン、ハルツーム

今週、国連人口基金は国連人道危機評価派遣団(UN humanitarian assessment team)の報告を受け、スーダン西部のダルフール州で引き続く紛争とそれに伴う強制退去によって何十万人もの女性が壊滅的な被害を被っていると警告を発した。

2003年初頭に勃発した内戦以来、約100万人のスーダン国民が住居を追われ、そのうち約11万人が国境を越え世界で最も貧しい国のひとつであるとされるチャドに避難している。国内避難民としてスーダン国内に残っている難民は80万人以上を数え、そのほとんどが長引く内戦により人道援助機関の援助を受けられないままとなっている。

パメラ・デラジー(Pamela Delargy)国連人口基金人道問題担当部長によれば、難民の中には妊婦や授乳中の女性が何千人もいるものの、難民キャンプまで辿り着けるのはごくわずかだ。また、たとえ辿り着いたとしても、キャンプにやってくる女性全員が栄養補給・産前ケア・分娩補助を必要とする状態であり、妊産婦死亡と乳幼児死亡を避けるためには、多くの妊婦に緊急産科ケアが不可欠な状態である。

ダルフール州の人道危機の規模を評価するために派遣されたデラジー部長ほか各国連機関の代表は任務を終え帰国した。この派遣団はスーダン政府の要請によるもので、国連世界食糧計画事務局長(UN World Food Programme, WFP)ジェームズ・モリス氏(James Morris)が団長を務めた。

現在の危機的な状況になる前から、ダルフール州に住む多くの人が、十分な医療・教育・その他のサービスを利用する事が出来ない状態にあり、極度の貧困の中で暮らしていた。こうした状況は14ヶ月間にわたる武力紛争とあいまって、「世界で最悪な人道危機」と国連職員によって評される事態となっている。

ダルフール州は妊産婦・乳児死亡率が非常に高く、また定期的な干ばつや栄養不良の問題でも苦しんでいる地域である。今回の紛争では、広範囲にわたって暴力・略奪そして全村の焼き討ちなどがおこり、約100万人が住居を追われている。この結果、大多数が隔絶された場所に離散しており、整備された住居に住むことができていない。難民キャンプに住んでいる人々は、キャンプが組織的に運営されているいないに関わらず、キャンプ以外での暴力と治安の悪化に直面している。とくに、性暴力が蔓延しており、女性や少女は武力衝突の被害者であるとともに性的暴力の被害者にもなっている。彼女たちは水汲みや薪や飼葉を集めにキャンプを離れる時に襲われるのである。

国連人口基金は、包括的緊急対応計画の一環として、妊婦を支援するため、ダルフール州当局、GOAL、国際救済委員会(IRC)、米国セーブ・ザ・チルドレンを含む非政府組織と共に活動している。国連人口基金と各協力団体は、早急に必要な医療品や安全な出産のための補給品及び機材の発送のほか、ダルフール州の5つの助産学校を支援するための機材や奨学金を提供するとともに、産婦人科分野で国際的な専門家を送り込んで現地のヘルススタッフの訓練およびリプロダクティブヘルスサービスのモニタリングの支援を始めている。また、緊急事態に対応した病院照会システム(Referral System)を確立し、そのサポートとして交通・通信設備の確保にも尽力している。

さらに、国連人口基金では他の国連機関及び赤十字国際委員会と連携し、性暴力・性感染症、その他の病気の予防・治療のほか、現地の人々の精神的ケアにも力を入れている。

「他の紛争と同様スーダン西部でも、レイプが戦争の一手段として使われていて女性と少女に悲惨な結果をもたらしており、性暴力の被害者は身体の保護に加え、早急な医療手当、トラウマに対するカウンセリングそして社会的援助が必要である」とデラジー氏は話す。

紛争により家族も地域共同体も破綻してしまったため、難民キャンプや居住地に保護されている人々でさえ性的暴力と性的搾取を受けやすい状態にある。国連人口基金ではこうした危機的状況に対応するべく、他の国連機関と協同しながら難民キャンプの適切なデザイン、管理、そして意識向上プログラムがキャンプ内の性暴力・HIV感染予防に繋がるよう活動を始めている。活動の一例として、燃料や飼葉を供給することによって、女性が治安の悪いところを長距離移動しなくてもいいようにするプログラムがあげられる。同基金はまた、女性と少女に対して必要最低限の衛生設備を確保することにも取り組むつもりだ。

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国連、リプロダクティブヘルスは開発に必要不可欠と満場一致
~“カイロ会議のスピリットは健在”とオベイド事務局長語る~

2004年5月10日
国連、ニューヨーク

1994年のカイロ国際人口・開発会議(Cairo International Conference on Population and Development, ICPD)で採択された行動計画(Program of Action)の実施は、ミレニアム宣言(Millennium Declaration)をはじめ世界の開発目標の達成に多大なる貢献をしている―これは国連加盟国の総意として先週木曜日に開催された人口・開発委員会において満場一致で採択された。

採択された決議では、各国政府はカイロ行動計画を貧困根絶への取り組みへと反映し、カイロ会議で掲げられた目標の達成に引き続き最も高い政治レベルで全力を投じるべきであるとしている。また、カイロ行動計画実施を促進するにはさらなる政治的意思の高まりと資金調達の取り組みが早急に必要であるとされている。さらに、委員会は、先進国は開発における人口・リプロダクティブヘルスのもつ重要性を踏まえ、新規および追加資金援助の取り組みを強化するべきであると指摘するとともに、ドナー国には人口問題支援への資金提供の責務を全うするようつけくわえた。

アメリカは委員会での決議には賛成したものの、カイロ会議のほかリプロダクティブヘルス、リプロダクティブライツ、家族計画サービス、およびセクシャルヘルスに関する主要国連会議において様々な条件や文言の解釈を呈示してきた従来の立場を改めて表明した。また、カイロ行動計画及び関連会議決議の「再確認」は、中絶やいわゆる人工妊娠中絶薬の使用を促進するものとして解釈される文言を「追認」するものではないと述べ、禁欲こそが未婚の若者にとって最も責任のあるかつ健康的な選択であるとの見解を示した。

エジプトもまた自らの立場を表明し、カイロ行動計画の実施は各国の主権、価値観及び世界的に認められた人権に基づくものでなければならないという考えを再度示した。

「77の途上国グループ」(Group of 77 Developing Countries)のひとつであるカタールの代表は、カイロ行動計画に寄せられた強い支持が途上国への資金増加および技術援助のさらなる進展に結びつくよう期待していると述べた。同グループは途上国援助をおこなう国連人口基金への拠出金の増額をドナー国に強く要請した。

委員会の締めくくりとしてトラヤ・オベイド国連人口基金事務局長は、「この委員会をとおして、カイロ行動計画が美辞麗句を並べ立てたものではなく、若者の未来、男性と女性、地域社会と健康、そして全ての人々の生命と享受するべき機会に関わっていくものであることが証明されました」と述べ、「ICPD行動計画の実施については、折り返し地点を越えた今なお、カイロの精神は健在で活気に満ち溢れています」とつけくわえた。

現在の人口・開発委員会は1946年に「人口委員会」として設立され、人口とその影響に関して経済社会理事会へ諮問をおこなっていた。カイロ会議ののち、人口委員会は人口・開発委員会と名称を変更し、カイロ行動計画の実施を精査するべく1996年より毎年委員会を開催している。委員会のメンバー47カ国は地理的公平性を鑑み選出されている。

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文化的側面への配慮が開発の鍵である、と新しい報告書

2004年5月18日
国連、ニューヨーク

国連人口基金(UNFPA)による新しい報告書、、“Working from Within: Culturally Sensitive Approaches in UNFPA programming(コミュニティーからの取り組み:国連人口基金のプログラムにおける文化配慮アプローチ)”は、開発努力は、受益者の文化に配慮し、開かれた対話や地域社会の参加の上になされるとき、さらに成功の可能性が高まるとしている。

同報告は、地域の社会的・文化的現状を認識し、開発プログラムに対する地域社会のオーナーシップを積極的に推進することは、それをより受け入れやすいもの、そして持続可能なものとする環境を生み出すと結論付けている。

同報告書は、現地の人々・機関と連携したアプローチ・連携に関し9カ国を例に挙げているが、これらの事例は、地域社会に利益をもたらすことができる開発目標の達成や人権の尊重という点において、複雑な文化システムの中からの取り組みがいかに効果的であるかということを示している。この報告書は、国連人口基金のフィールド経験に基づいている。

トラヤ・オベイド国連人口基金事務局長は、「社会的、文化的な現状は、開発目標や人権を推進するに際し、克服すべき課題であると同時に、好機でもあります。これはジェンダー、HIV/エイズ、女性性器切除、女性に対する暴力、妊産婦の健康、家族計画の問題に取り組む場合に特に言えることです」と語る。

例えば、ウガンダのある地域では、年長者と提携しサビニー族の文化の尊厳を保ちながら女性性器切除という長年の慣習が姿を消しつつある。リプロダクティブ・ヘルス・ライツは、長年にわたり公に話すことがタブーであったが、イスラム教指導者と共同して問題に取り組むことにより、国内のイスラム共同体においても推進されるようになった。エイズ予防を含む性とリプロダクティブヘルスに関するメッセージも、ウガンダのキリスト教会との連携のもと国中に広められた。

ラテンアメリカにおいて妊産婦死亡率が最も高い国の1つであるグアテマラでは、女性およびその家族の健康促進を目的とする法案制定にあたり、国連人口基金は主導的な役割を果たした。このグアテマラの例では、カトリック教会、様々な福音派教会、専門家、労働組合、ビジネスリーダーを含む様々なグループの共通点を見つけ出すことで、国連人口基金はこの革新的な法案の採択を後押しするための連携を作り出すことに寄与した。

同報告書には他にも、ブラジル、カンボジア、ガーナ、インド、イラン、マラウィ、イエメンでの事例が掲載されている。この報告書は、「対話と開発に向けた文化多様性のための国連世界の日(5月21日)」(United Nations World Day for Cultural Diversity for Dialogue and Development)に合わせて、今日(5月18日)ニューヨークにおいて発表された。この日は、繁栄の達成、持続可能な開発そして世界の平和共存に関して文化のもつ可能性を再認識する日である。

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太平洋諸国、リプロダクティブ・ヘルス用品の確保に関する行動計画を承認

2004年5月24日
国連、ニューヨーク

先日太平洋諸国によって採択されたリプロダクティブ・ヘルス用品の確保に関する行動計画は、救命および健康状態の向上にリプロダクティブ・ヘルス用品の供給が重要であると訴えている。国連人口基金の支援を受けつつ策定された行動計画は、太平洋諸国の人々が必要なときにいつでもリプロダクティブ・ヘルス用品を選択・確保・使用することができるように求めている。

クック諸島、フィジー共和国、キリバス共和国、サモア諸島、ソロモン諸島、トンガ王国、ツバル国、バヌアツ共和国の各厚生大臣は、世界保健総会が開催されていたジュネーブで5月20日、この行動計画を承認した。各国厚生大臣はそれぞれの国にリプロダクティブ・ヘルス用品が確保されるよう国連人口基金の支援を求めた。

英連邦事務局と英連邦医療基金(Common Wealth Medical Trust)の連携のもとに作成されたこの行動計画には、太平洋諸国が良質のコンドーム・避妊薬(具)及びリプロダクティブ・ヘルス用品の供給・選択に障害となりうる事由を特定できるよう支援がなされるべきだと記載されている。すべての人々のリプロダクティブ・ヘルス用品へのニーズは、適切な時宜・場所・方法で満たされる必要がある。

太平洋諸国は広い範囲にわたって散らばっており、それらの国々の多くが小さい島々が集まって構成されている国である。行動計画はこれらの国々が直面している多くの地理的制約や課題・自然災害による制約や課題、および特に若年層での低い避妊実行率と十代での妊娠といった問題を考慮に入れたものとなっている。

上記の要因により、太平洋諸国にとっては、リプロダクティブ・ヘルス用品を一括して大量購入し、太平洋諸国の中央に位置している倉庫へ保管しておくことが必要不可欠である。このような施設はすでにフィジー島に建設されており、近いうちにオープンする予定である。同施設により、リプロダクティブ・ヘルス用品が適切な条件下で保存され、各国が適正な価格でかつ迅速に入手できるようになる。

また、この行動計画は、妊産婦の健康やHIVを含む性感染症の予防、及びリプロダクティブ・ヘルス用品購入費を国家予算に組み入れることなども提起している。

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