プレスリリース 2004年7月

ラテンアメリカ・カリブ海諸国_サンチアゴ宣言を追認
アメリカ合衆国、全会一致の決議案に賛成

2004年7月2日
プエルトリコ、サン・ファン

ラテンアメリカ・カリブ海諸国は1994年にカイロで開催された国際人口・開発会議の行動計画を再確認し、今年3月のサンチアゴ宣言を追認する決議案を採択することになっている。この決議案は、本日(7月2日)、ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)総会に提出される。ECLACは加盟国41カ国、準加盟国7カ国で構成される。この決議案は、水曜の夜におこなわれたECLAC「人口と開発に関する特別委員会」にて全会一致で承認されている。

アメリカ合衆国は、サンチアゴ宣言採択前に開かれた事前会議での報告を決議案に盛り込むことを条件に、この全会一致の決議案本文に賛成した。この事前会議では、アメリカただ一カ国がサンチアゴ宣言に反対をしていた。午後に開かれるECLAC総会では、アメリカの立場説明が予定されており、他の加盟国もカイロ行動計画及びサンチアゴ宣言に関し演説をおこなうことになっている。

決議案では、ラテンアメリカ・カリブ海諸国がカイロ行動計画実施に向けてさらなる努力を続けていくよう強く求めている。また資金提供のみならず、特に貧困、社会的不平等の削減、およびジェンダー格差解消に向けての政策に行動計画を統合していくよう最大限努力するようつけくわえている。さらに、こうした目標を達成するためには、国際社会の技術協力・資金援助を増大することが必要であるとうったえている。

水曜日の特別委員会閉会式では、国連人口基金(UNFPA)トラヤ・オベイド事務局長が挨拶し、「カイロ会議の精神は、特に中南米地域で今も変わらず健在であります。カイロ行動計画は一国一国のものであり、それぞれの国の社会、文化、経済の現実に則して実施されています。また、多くの国が合意しているように国際的人権尊重の考え方とも一致しています」と述べた。事務局長は続けて、「真の平等なしに真の民主主義はありえません。また、真の平等がなければ、真の人権もありえません。カイロ会議の意義はまさにここにあるのです」とつけくわえ委員会を締め括った。

特別委員会に提出された決議案とは別に、総会ではその他の決議案が採択される予定で、今日7月2日に閉会する。

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英国政府、4年間に渡る拠出金増額 年間3640万ドルに

2004年7月9日
国連、ニューヨーク

英国政府は、開発途上国におけるリプロダクティブヘルス・サービスへのアクセスの促進、安全な母性、HIV/エイズ予防対策をより一層支援していくために、国連人口基金(UNFPA)に対する年間拠出を現在の3020万ドルから約3640万ドルほどに引き上げることを決定した。国連人口基金はこの決定を歓迎している。また、英国政府はこの金額を今後4年間継続すると明らかにした。この3640万ドルという数字は、増額された年間2000万ポンド(4年間継続)をドル換算したものである。

これを受けて、トラヤ・オベイド国連人口基金事務局長は、「この4年間に渡る拠出は、開発途上国に暮らす男女が必要としているリプロダクティブヘルス・サービスの拡充、介助を伴う出産やHIV/エイズ予防の促進など、国連人口基金の活動に追い風になるものです」と発表した。また、こうした多年度に渡る安定した高額の資金提供は、国連人口基金や他の国連開発機関が、国際的に合意された開発目標を健康の促進と貧困の削減につながっていくようなより具体的な国内的プログラムへと移していくのに大きな支えになるとうったえた。さらにオベイド事務局長は、他のドナー国がこれに続くよう期待を明らかにした。

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エイズ対策、女性への影響拡大に対処しなければならない、と国連報告書

2004年7月14日
タイ、バンコク

ジェンダー不平等への取り組みを含まないHIV/エイズ対策は成功する見込みがない―本日7月14日、国連合同エイズ計画(UNAIDS)、国連婦人開発基金(UNIFEM)と国連人口基金(UNFPA)はこのような報告書を発表した。この報告書によると、世界のHIV感染者のおよそ半数が女性であり、エイズが女性や少女に与える壊滅的な影響はその多くが目に見えないもので、差別、貧困、そしてジェンダーに基づく暴力が感染拡大の一役を担っているとされている。

"Women and HIV/AIDS: Confronting the Crisis"と題されたこの報告書では、成人のHIV感染者のうち48%が女性で、1985年の35%から上昇していることが明らかになっている。現在、世界では 3780万人のHIV感染者がいて、そのうちの1700万人が女性ということになる。サハラ以南アフリカではさらに深刻な状況で、エイズを発症させる HIVウィルス感染者の57%が女性である。アフリカにいる15歳から24歳の若い女性のHIV感染率は、同年代における男性の感染率の約3倍にも上る。

報告書の中では、HIV/エイズ対策での地球的規模の進歩は特に女性に焦点を当てたエイズ対策が必要不可欠であることのほか、女性は男性より感染予防知識が少なく、彼女たちがたとえある程度の知識を有していたとしても、差別や暴力によって意味のないものにさせられてしまっているという現実にも触れられている。

キャスリーン・クラベーロUNAIDS事務局次長は、「具体的な対策によって女性が直面する現実に対処しHIV感染に対する女性のリスクを減らしていく以外、進むべき道はないのです」と述べ、女性への暴力を減らし、HIV予防と治療体制の充実と女性の財産権の保障が重要であるとうったえた。

この報告書は、国際的な圧力団体である"Global Coalition on Women and AIDS"が「効果的なエイズ対策に直結する」と指摘する分野に焦点を当てている。この団体は包括的なHIV/エイズ対策イニシアティブとして2004年に発足し、特にHIV/エイズに感染している女性や少女またはその家族の生活の支援が具体化されるよう活動を行っている。「効果的なエイズ対策に直結する」とされる分野には、HIV予防・治療・ケア、教育、ジェンダーに基づく暴力への対策、そして女性の権利保障が含まれる。女性の権利の中には、自分自身を守るために必要な教育を受ける権利、情報へのアクセス、そして女性主体の避妊方法を選べる権利のほか、土地・財産の所有・相続権、経済的に独立する権利なども含まれる。また、女性にとって有害である伝統的慣習や暴力から自由である権利、自己の身体や人生を決定する権利なども女性の権利に含まれるとされる。

トラヤ・オベイド国連人口基金事務局長は、「禁欲(Abstinence)、相手に忠実でいる(Be Faithful)、コンドームの使用(Use Condoms)といういわゆる『ABCアプローチ』は女性や思春期の少女にとってHIV予防の十分な対策にはなりえません。なぜなら、『禁欲』は強制的に性行為をさせられる女性にはまったく意味がなく、女性が『忠実』であったとしても、肝心の夫が複数の相手と性交渉をもっている場合や結婚前にHIVに感染している場合は十分な予防にはなりません。また、『コンドーム』の使用には男性の協力が必要であるからです」と述べ、さらに、女性の社会的、経済的エンパワーメントの重要性と女性のセクシャル・リプロダクティブ・ヘルスに対する権利保障を政府が財源的に推し進めていくことの必要性をうったえた。

こうした困難な状況のなかでも、多くの女性がHIV/エイズ対策において中心的な役割を担ってきている。報告書では、こうしたHIVの蔓延に対し革新的な活動をしている女性の話がいくつか紹介されている。こうした女性たちの活動は、国のエイズ政策や戦略を変えていく戦いであるとともに、女性のニーズと状況に対処するよう財源を振り分けるよう求めていくことである。

ノエリーン・ヘイザーUNIFEM事務局長は、「エイズという過酷な病を経済的、社会的な危機へと変化させたものはジェンダーの不平等であります。この危機を乗り越えるには、ジェンダーの平等や女性のエンパワーメントを促進する対策・政策にさらに財源を投入する必要があります」と述べ、こうした対策・政策が実際にHIV/エイズの影響をうけている女性の知識や経験に基づいていなければならないとつけくわえた。さらに、「女性が単なる被害者だけではなく、変化を起こす行動者でもあります」と述べ、HIVに苦しむ女性たちの声にしっかり耳を傾けることや女性たちのリーダーシップ育成などに努力していく重要性をうったえた。HIV/エイズ、ジェンダー不平等、貧困という三重苦を終わらせるには、女性が経済的に自由で、男性と対等に土地・財産の所有権や雇用の保障が確保され、暴力、差別、そして辱められることがない人生を送ることのできる権利が保障されなくてはならないのである。

編集者注:
この報告書に出てくる女性の話には以下のようなものがある。

コウサリヤ・ペリアスワミ(Kousalya Periaswamy)さん(インド):
19歳で未亡人になり、夫から感染し自らもHIVポジティブ。夫から自分はHIVに感染していると告げられたのは結婚して数週間後のことだった。周りの非難にもめげず、彼女のようなHIVポジティブの女性が世間に名乗り出ることを支援し、"Positive Women's Network of South India"という団体の設立に寄与した。現在、この団体には数千人が加盟し、カウンセリングや社会福祉活動を通じて多くの女性と少女に希望を与えている。(ペリアスワミさんは現在バンコクで開かれている国際エイズ会議に出席しており、取材も可能。)

ハディジャ・バー(Khadija Bah)さん(シエラレオネ):
19歳の時に武装勢力に両親と夫を殺害された後、誘拐され武装勢力の性的奴隷とされた。脱走に成功し首都フリータウンまで逃れたものの、ほかの多くの女性と同様、食べていくために売春婦となった。現在、ハディジャさんは、通称「ジュリアナおばさん」と呼ばれるジュリアナ・コンテ(Juniana Konteh)さんが始めた"Women in Crisis"というプロジェクトが運営するセンターに身を寄せている。自らの経験を話し心の傷を癒す場所を得た彼女は、HIVから身を守る方法や性産業から足を洗えるよう職業訓練などを学んでいる。

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国連人口基金、米国政府の拠出差し控えに遺憾

2004年7月16日
国連、ニューヨーク

国連人口基金は、米国議会が承認した国連人口基金への拠出3,400万ドルを差し控えるという米国政府の決定に対し、遺憾の意を表明した。3,400万ドルという金額は、HIV/エイズ蔓延の緩和、妊産婦死亡の予防、家族計画の提供し、人工妊娠中絶件数の削減に至急必要とされるものである。

米国政府は、今年で三年目になる拠出差し控えの理由として、国連人口基金が中国で強制人工妊娠中絶を支援しているということをあげるが、これには根拠がない。「米国からの拠出金があれば、何千人もの命を救うことができたでしょう」と、トラヤ・オベイド国連人口基金事務局長は話す。

世界中で10億人以上の若者が生殖年齢に入り、リプロダクティブ・ヘルスに関する保健医療サービスへの需要が増加するなか、支援にあてられるその1ドル1 ドルの重みがますます増してきている。国連人口基金の推定によると、もし3,400万ドルが拠出されていれば、多くの国で、200万件の望まない妊娠、 80万件の人工妊娠中絶、4,700件の妊産婦死亡、さらに77,000件以上の乳幼児死亡を防ぐことができたとされている。また、妊産婦の健康向上およびHIV/エイズ予防対策のさらなる拡充にも用いられる可能性があったと指摘する。

「歴史的に、米国はリプロダクティブ・ヘルスや家族計画の促進において世界のリーダーでした。私たちは、米国が再びその役割を果たすことを望みます」とオベイド事務局長は述べ、世界規模での保健衛生向上及び貧困緩和が緊急課題であること、それには力強い連携と国際的な協力が求められることを強調した。

国連人口基金は約140ヶ国で活動しており、家族計画を含むリプロダクティブ・ヘルスに関連する保健医療サービスへのアクセス向上、妊娠・出産時の母体保護の促進、望まない妊娠、性感染症およびHIV/エイズ予防など若い世代も視野に入れた活動を行っている。

米国政府の拠出差し控えは中国における国連人口基金の活動に対する誤った見解や疑惑によるものだが、オベイド事務局長は「これまでも、今も、これからも、そしていかなる場所や形態においても、国連人口基金は強制的な人工妊娠中絶に関する活動支援も容認もしておりません」と述べている。

2002年に中国へ派遣された米国国務省の視察団は、国連人口基金が人工妊娠中絶や強制不妊手術プログラムを支援もしくは実施に関与しているという証拠はなかったとしている。視察団は、むしろ国連人口基金はそのような活動に対して強い反対を示していると報告し、議会によって承認された国連人口基金への拠出がなされるべきだと提言している。またこれとは別に3つの独立した視察団(国連、英国議会、様々な宗教の指導者からなる専門委員会)の報告でも、同様の結論に達している。

米国は、予算上の理由以外で国連人口基金に対して拠出を差し控えている唯一の国である。

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