プレスリリース 2005年1月

エイズ撲滅のためには、より強いリーダーシップが求められている ──国連人口基金事務局長語る

2005年1月5日
国連、ニューヨーク

国連人口基金(UNFPA)は、昨年12月26日にインド洋で発生した大津波の被災地で女性に対する暴力が多発することを危惧し、女性被災者の安全確保の拡大とそれに応じた人道援助の調整を呼びかけている。スリランカの避難所は女性に対する集団暴行・レイプ事件が発生したという1月3日(月)の報道を受けて、トラヤ・オベイド国連人口基金 事務局長は翌日4日(火)「被災地の女性の非常に多くが残された家族の世話という重責を担っている以上、彼女たちの安全確保は人道援助において最も優先される課題です」との談話を発表した。

被災地では治安の悪化に加え多くの家族が離散している状態で、特に女性が性的暴力の危険に脅かされている。多くの被災地では災害以前から女性に対する性的虐待・搾取や人身売買などが問題視されていた。スリランカでは、100万人以上の被災者が家を失い、治安も悪化している。このように治安状態が悪化し、女性に危険が及ぶようになると、食料や飲料水など救援物資を手に入れるため外に出る機会の多くなる女性の行動が制約され、救援活動にも大きな支障が出ると国連人口基金は警告する。

国連人口基金では簡単な警備体制を一刻も早く復旧して一定の治安回復を呼びかけるほか、被災地に暮らす女性の安全確保を行なうため以下のような提案をしている。

•救援活動に女性をグループ単位で参加させ、食料配布の任務を負ってもらうことで、女性や子どもの搾取ができるだけ起こらないようにする。
•避難所などでは夫を失った妻、子どものために男女別の宿泊所、入浴施設、トイレを用意する。
•女性や少女が食料、飲料水、衣類、燃料などの救援物資を取りに外に出る場合は必ず護衛をつけるなど安全を確保する。
•女性に対する暴行の被疑者の逮捕、訴追を行なう。
•性的暴力やその他の暴力の被害者に対する治療とケアを速やかに行なう。
国連人口基金では、今週発表される予定の緊急共同アピールに女性と少女の安全確保と性的暴力被害者に対する支援の呼びかけを盛り込むことを強く呼びかけている。また、国連人口基金は被災地の保健・衛生の緊急援助資金としてすでに300万米ドルを確保している。

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国連人口基金、ドナー国に対し2800万ドルの支援求める
津波被災地の女性、若者救援に

2005年1月6日
国連、ニューヨーク

国連人口基金(UNFPA)は、インド洋大津波による被害が最も大きかったインドネシア、スリランカ、モルディブの三カ国における女性と若者の被災者を対象とした救援・復興支援のため約2800万米ドルをドナー国に求めていくことを決定した。国連人口基金では特に保健・衛生支援のほか女性被災者の安全確保に向けた救援活動を行なっていく。

国連人口基金が算出した2800万ドルという救援・復興事業の見積もりは、6日(木)にインドネシアの首都ジャカルタで発表される国連機関共同緊急アピールで正式に発表される。国連人口基金は被災国政府、現地NGO(非政府組織)、各国連機関および人道援助機関と連携しながら、この先6ヶ月間、以下のような救援・復興事業を行なっていく。

•安全な出産、緊急産科ケアおよびHIV感染予防に必要な医療物資(機器、医薬品など)の配布
•妊産婦保健サービスの再開と被災地における保健・医療施設等の復旧
•夫を失った女性被災者に対する心のケア、カウンセリングなどの実施
•女性や未成年者に対する暴力の予防と被害者の治療(共同体ベースの支援プログラムと医療・心理サポート)
•救援物資、仮設医療施設、護衛などのサービスが夫を失った女性被災者や社会的弱者などへ行き渡ることを推進
•生理用品の提供・配布
•未成年者に対する支援の実施(教育プログラムやドロップイン・センター[1]の活用)
[1] 立ち寄ってくつろいだり相談したりできる公共の施設

救援・復興事業の国別内訳

インドネシア(1800万米ドル)

スマトラ島のアチェ州などでは地震と津波によって8万人以上が死亡し、医療施設、道路や橋、通信施設、食料品・燃料の販売路などが壊滅的な打撃を被っているため、少なくとも100万人以上に対し緊急援助が必要となっている。国連人口基金では、WHO(世界保健機関)とインドネシア保健省と連携し、1800 万米ドルのうち800万米ドルを医療サービス(妊産婦医療とHIV/エイズなどの性感染症予防)の復旧費用に充て活動を行なう。国連人口基金は特に妊産婦・乳幼児死亡を極力抑えるため医薬品や医療機器の提供・配布などを通し安全な出産や緊急産科ケアサービスの復旧を目指している。また、物資の提供に加え、政府職員やNGO職員などの医療従事者に対し訓練サポートを行なうほか、技術供与、保健所などの施設の復旧、病院照会システムや合併症を起こした妊婦の搬送のサポートを行なう。

被災者の心のケアに対する緊急支援として700万米ドルが充てられていて、カウンセリング実施のほかサロン(腰巻)やスカーフなど衣類の提供を計画している。最も被害の大きかったアチェ州では被災者の心的ストレスがひどく、大人が子どもの世話はおろか自分の身の回りの世話もできないほどでカウンセリングが緊急に必要となっている。石鹸、手ぬぐい、生理用品などが入った衛生キットの配布もこの700万米ドルでまかなわれる。

残りの300万米ドルは、女性や社会的弱者がより効果的に飲料水、食料などの救援物資や医療、衛生施設にアクセスできるよう避難所などでの体制作りに充てられる。国連人口基金では現地NGOなどと協力して、子どもやけが人などの世話に追われ救援物資の受け取りができない母親などでも必要な物資が手に入れられるような体制を構築していく。また、この300万米ドルを使って女性や未成年者に対する暴力防止プログラムを展開する予定だ。

スリランカ(750万米ドル)

スリランカにおける津波による死者は3万人以上、家を失った人はおよそ86万人いるとされる。国連人口基金ではその中でも50万人の女性被災者に対し保健・医療支援を行なっていく。資金の大半にあたる650米万ドルを被災地での妊産婦医療サービスの復旧費用に充て、安全な出産と緊急産科ケアの確保を目指す。国際人道援助機関や現地機関と連携し、産科病棟・分娩室それぞれ20施設と2箇所の緊急産科ケア施設の復旧、再建を予定している。そのほかにも、衛生キットの配布、医療施設の場所など情報の発信、HIV/エイズなど性感染症の予防、性的暴力の防止と被害者のケアなどを目指している。残りの資金を利用して、医療従事者やNGO、ユース・ネットワークなどの職員に対し被災者の心のケアに関連した訓練プログラムを実施するほか、特に性的暴力の女性被害者に対する心のケアに対応していく。

モルディブ(240万米ドル)

団体部門での授賞となるAPROFAMONGは1964年に設立され、民間の非営利、非宗教団体として、リプロダクティブ・ヘルス教育とグアテマラにおける家族問題のケア、及びカウンセリングを提供している。また、低所得の人々に質の高いリプロダクティブ・ヘルスサービスの提供をミッションとしており、グアテマラのリプロダクティブ・ヘルス分野でイニシアチブを取っている。開発計画におけるジェンダー問題を取り上げるなど、その活動は、国内の人口およびリプロダクティブ・ヘルスプログラムのための法的整備や実施のための枠組み作りに役立てられている。また、人口に関するより実質的な提案を政府に示すほか、グアテマラのより正確な人口統計データを収集および提供を行なっている。

モルディブでは200の島で少なくとも1500人の妊婦が被災し、およそ1000人が6ヵ月以内に出産を迎えるとされているが、医療施設などは不十分なままである。国連人口基金では現地の保健・医療施設が崩壊していて安全な出産が難しいことを危惧している。環状サンゴ島にある10箇所の病院と保健所では建物だけでなく備品や医療機器の損壊が激しく、加えて20箇所の診療所が損壊している。

国連人口基金では200万米ドルを保健・医療施設の復旧に充て、特に被害の大きかった地域での妊産婦保健サービスの再開を目指している。ワクチン等医薬品のほか緊急出産キットや避妊薬(具)の供与も予定しており、妊娠・出産における合併症に対して効果的に対応できるよう支援していく。また、思春期の若者の性と生殖に関する健康やHIV/エイズなど性感染症予防支援も行なう予定である。

国連人口基金はさらに40万米ドルを使って女性と少女に対する安全確保と心のケアを支援するプログラムを予定し、保健省や現地機関と協力しながら家族や地域社会に重点を置いた活動を計画している。

国連人口基金は津波の被害にあったすべての国に現地事務所を持っており、震災直後から関係各機関と連携し被災状況の把握、医薬品の配布を始めて保健・医療施設と緊急産科ケア実施の早期再開を目指している。さらに、石鹸、手ぬぐい、生理用品などが入った衛生キットを数万セット配布し、着の身着のままの女性被災者に救援の手を差し伸べている。また国連人口基金では緊急援助資金としてすでに300万米ドルを確保したほか、医薬品、医療機器などを供与するため資金の追加を決定した。

緊急アピール発表の前日、トラヤ・オベイド国連人口基金事務局長はコメントを発表し、国連人口基金が提示する女性被災者支援へのアピールに対しドナー国は迅速に反応するだろうと国際社会への信頼を明らかにした。またコメントでは、「このような非常事態では女性は救援活動の柱です。子どもや残された家族の世話をする女性には特別なケアが必要になります。被災地に暮らす女性や未成年者に対する支援は一刻を争う課題です。数ヶ月先、数年先を考えれば、女性や未成年者に対する支援を優先させることは地域社会の復興を早める初期投資であります」と述べた。

国連機関共同緊急アピール(英文)はこちらからhttp://www.reliefweb.int/appeals/temp/flashappeal.html

地震と津波による被災者の国連人口基金救援活動の詳細は
本部ホームページ(www.unfpa.org)をご参照ください。

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日本とオランダが計650万ドルの資金提供―国連人口基金の津波被災者救援活動に

2005年1月13日
国連、ニューヨーク

国連人口基金(UNFPA)が行なっているスマトラ沖地震被災者の救援活動に対し、日本政府から550万米ドル、オランダ政府から100万米ドル、計 650万米ドルの資金提供が今週決定された。国連人口基金は、被災者の中でも特に女性と若者に対する保健・医療援助および心のケアへの救援活動を展開している。

被災地での救援活動として、国連人口基金では300万米ドルの緊急援助資金を確保した。加えて、先週発表された緊急共同アピールの中で、被害が最も大きかったインドネシア、スリランカ、モルディブの三カ国における女性と若者の被災者を対象とした救援・復興支援のため、約2800万米ドルの資金提供を呼びかけている。国連人口基金では、これまでに自宅分娩に必要な医薬品、医療器具のほか、避妊薬(具)などリプロダクティブ・ヘルス関連の医療物資を被災地で配布したほか、紛争地域や被災地では女性に対する暴力・暴行そして性的搾取などが多発する傾向があるため、こうした問題に対する監視活動にも努めている。そのほかにも被災国政府や現地NGOなど関係各機関と連携して、被災者の心のケア、カウンセリングを行い、被災者の社会復帰を目指し活動している。トラヤ・オベイド国連人口基金事務局長は、「津波で夫を失い、これから残った家族をたった一人で支えていかざるを得ない多くの女性にとって、こうしたカウンセリングは非常に重要なのです」と述べている。

資金提供の発表を受け、オベイド事務局長は、「こうした惜しみない援助があるおかげで被災者の中でも見過ごされることの多い女性や若者のケアを適切に行なうことが可能になります。日本政府およびオランダ政府が継続的に国連人口基金の活動を支援していただいていることはもちろん、今回のような緊急時に迅速な反応をしていただいたことに大変感謝しております。被災地に暮らす女性および思春期の若者や子どもの健康・衛生・安全そして心のケアを中心に活動を進めてまいります」と声明を発表した。被災地ではおよそ15万人の妊婦がいるとされ、その内5万人が今後3ヶ月以内に出産を迎えると見られているが、保健・医療施設の多くが被災し、必要な医療器具や医薬品もなく、衛生的で安全な分娩・出産が非常に難しい状況になっている。

国連人口基金では、インド洋で発生した地震と津波による被災国すべてに対し援助活動を行なっています。詳しくは本部ホームページ(www.unfpa.org)をご覧ください。

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安全な出産を守れ―国連人口基金、スマトラ沖津波被災地で救援物資支給

2005年1月14日
インドネシア、ジャカルタ

国連人口基金(UNFPA)がスマトラ沖地震・津波の被災地に発送した母子保健関連の救援物資は、最も被害が大きかったアチェだけでもすでに18トンに上っている。救援物資には、自宅分娩用の簡易出産キット(せっけん、臍帯切除用のカミソリ、新生児をくるむ布など)から緊急産科ケア用の医療機器まで幅広く含まれている。こうした救援物資の内容は、国連人口基金とインドネシア保健省が先月行なったニーズアセスメントの結果に基づいて決められた。国連人口基金 インドネシア事務所のコクラン所長は、「被災地の母親および妊産婦に基礎的な医療を提供すること、そして妊娠・出産に伴う合併症に対応すること、この二つがわれわれの救援物資の目標です」と述べ、被災地で母子保健サービスや生殖に関する保健サービスが見過ごされれば死者が増えることにもなりうるとうったえた。

他の被災地域でも、国連人口基金は女性と思春期の少女に焦点を当てて人道支援活動を展開している。スリランカでは、避難所など配布先を定めて、これまでに自宅分娩用出産キットを一万二千個発送した。加えて、安全な出産を行なうのに必要な医療器具および医薬品のほか、性感染症予防用にコンドームなど避妊薬(具)を現地の病院、保健所に提供している。またモルディブでは、母子保健サービス等のニーズアセスメントを終え、出産キットなど救援物資の配布を行なう予定だ。タイでは、国連人口基金が保健省や関係各機関と行なったニーズアセスメントが終了し、本格的な救援活動の開始を目指している。さらに、国連人口基金では、最も被害の大きかった三カ国(インドネシア、スリランカ、モルディブ)の女性被災者に対し衛生キットを配布している。生理用品などの支給は人道支援活動において見過ごされがちだが、国連人口基金ではスリランカ政府や現地NGO(サルバドーヤ)と協力して約三十万キットを配布中である。こうしたキットの作成には国立ユース・サービス評議会(National Youth Service Council)のボランティアの協力があった。

被災地における女性の安全確保と被災者のカウンセリングも国連人口基金が優先事項と定める項目だが、国連人口基金ではオランダ政府の資金援助を受けて、スリランカの国立女性委員会(National Committee on Women)が避難所の女性を対象に行なうニーズアセスメントを支援している。このニーズアセスメントでは、避難所の女性の安全確保とカウンセリングの必要性について調査することになっている。

また、国連人口基金では被災地での救援活動のために医師や看護師など医療の専門家を募集しており、被災地に暮らす女性や若者、お年寄りなどに公正かつ安全な保健サービスを提供するべく活動している。

国連人口基金では、インド洋で発生した地震と津波による被災国すべてに対し援助活動を行なっています。詳しくは本部ホームページ(www.unfpa.org)をご覧ください。

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国連諮問委員会報告書、貧困削減には女性の参加と健康が不可欠
国連人口基金が報告書提言の即時実施をうったえる

2005年1月17日
国連、ニューヨーク

アナン国連事務総長の諮問委員会「ミレニアム・プロジェクト」が17日に公表した報告書には、リプロダクティブヘルス(性と生殖に関する健康)の保障が経済成長と貧困削減には欠かせないとする提言が盛り込まれ、トラヤ・オベイド国連人口基金事務局長は歓迎の意を表した。この諮問委員会は、コロンビア大学のジェフリー・サックス教授を委員長とする開発の専門家からなる独立委員会で、今回の報告書は開発途上国の貧困削減に関し提言を行なっているほか、3年以内に効果がでるとされる具体的な政策を列挙し、「ミレニアム開発目標(MDGs)」として掲げられた目標を実際に達成する上での指針になるとされている。

「ミレニアム・プロジェクト」は、2000年9月に採択された「ミレニアム開発目標」の達成に向けた具体策を検討する諮問委員会で、ジェンダーの平等の確立や女性・少女の健康促進、女性の教育、政治的・経済的機会の平等、財産権の保障、暴力からの自由などは具体策の一部として当初から検討されていた。今回の報告書は、ジェンダーの不平等を是正することは「ミレニアム開発目標」達成には欠かせない投資であると強くうったえるとともに、リプロダクティブヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康/権利)の保障や家族計画そして女性のエンパワーメントを促進し、構造的な変化をもたらすことが重要だとしている。特に貧困国では、適切な家族計画によって子どもの健康、栄養、教育により多くのお金をかけることで、その国全体の貧困削減に効果があるとされている。また報告書では、アフリカ、中東、アジア地域のいくつかの国では女性や少女の法的、政治的、社会的地位の向上にむけて多大な努力が必要だとしている。

報告書で挙げられた「3年以内に効果がでるとされる具体的な政策」には次のようなものがある。

•リプロダクティブヘルス関連の情報とサービス、特に家族計画と避妊の情報とサービス、を拡充し、サービスや情報のアクセス向上に力を入れる。
•女性のエンパワーメントを促進し、貧困削減などの重要な政策決定に女性の参加を促す。
•女性の財産権・相続権の保障を徹底するための法律改正を行なう。
•女性に対する暴力削減に向けた国家主導プログラムを実施する。
•公教育を無料化する。
また報告書は、先進国をはじめとするドナー国の資金支援が妊産婦保健やジェンダーの平等そしてリプロダクティブヘルスなどの分野に十分にわたっていない現状も浮き彫りにした。特に、妊産婦死亡は多くの地域で依然高い値を示しており、問題に対する関心の低さとともに緊急産科ケアなどの生殖に関する医療サービスや情報が不十分であると指摘されている。

報告書は、結論として、個人が生産的な生活を送れるようになることが「ミレニアム開発目標」の達成であるとし、そのためには人的資本、インフラ、政治的・経済的・社会的権利の保障の3つが必要だとしている。人的資本を支えるものとしては、栄養、医療、リプロダクティブヘルス、教育が挙げられている。また、権利の保障は、平等権、リプロダクティブライツ、暴力からの自由、参政権などが最も重要であるとされている。

こうした女性に焦点を当てた提言が報告書に盛り込まれたことを受けて、オベイド国連人口基金 事務局長は、「この諮問委員会報告書が、1994年にカイロで開催された国際人口開発会議での合意内容を反映しているのは明らかです。カイロ合意の中の『すべての人にリプロダクティブヘルス/ライツを保障する』とする項目が、貧困削減と開発には欠かせない要素であることは今回の報告書でいっそう明確になりました。特に、報告書で女性の役割が強調されていることは、今年で10年目を迎える北京会議の精神とも共通するものです」との声明を発表した。同じ声明の中で、オベイド事務局長は、「20世紀は政治的差別の終焉に取り組んだ世紀でした。今世紀、世界が極度の貧困を半減するという目標を掲げる中、先進国と開発途上国は力をあわせ、女性に対する差別や偏見そして暴力をなくしていこうではありませんか。そして、21世紀を性の差別の終焉に取り組む世紀としようではありませんか」と述べ、ジェンダーの平等に向けた国連人口基金のさらなる貢献を誓った。

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津波被災地での出産:国連人口基金、アチェに暮らす妊産婦に救援物資

2005年1月19日
インドネシア、バンダアチェ

アチェ州ランブレー村にある避難所。ザキーラちゃんは、先週土曜日、防水シートの上で産声をあげた。薬も石けんもなかった。臍の緒は、助産師である伯母がペーパーナイフで切り取った。ザキーラちゃんが生まれたランブレーにある避難所ではおよそ500世帯が避難生活を送っているが、先週だけでも3人の妊婦が出産した。どれも基礎的な産科ケアすらない中での出産だった。ザキーラちゃんの母親レヴィータさん自身も助産師で、津波で村が流される前までは姉妹で小さな産科クリニックを開いていた。避難所では、自分の出産前までほかの妊婦の出産に立ち会っていた。「ある妊婦さんは出血がひどかったのですが、何とか食い止めることはできました。せめて脱水症だけでも防ごうとたくさんお水をあげたんです」と避難所での分娩の様子を語る。

バンダアチェでは津波による被害の対応に追われており、妊産婦が必要とする医薬品などが決定的に不足したままだ。人道支援活動では、妊産婦に対する救援は見過ごされたり後回しにされたりすることが多い。一方、国連人口基金(UNFPA)の推計では、アチェ州だけで現在15,000人の妊婦がいて、その内 800人が今月中に出産を迎えるとされている。バンダアチェで救援活動をしている国連人口基金のメラニア・ヒデヤット医師は、「医薬品や医療体制の不十分な中での出産では、妊婦と胎児両方に命の危険が及びます。破傷風や感染症のほかにも失血による妊産婦死亡が増えるおそれがあります」と警告している。また、インドネシア保健省の医師は、バンダアチェにあるケスダム病院の産科病棟が機能していないほか、アチェ州にある病院全体で医薬品、衛生用品、衣類、簡易トイレが不足しており、妊婦の貧血症を防ぐのに必要なビタミン剤や鉄剤もないと報告している。

ランブレーの避難所は緑あふれる丘にあって、津波さえなければ海岸の絶景が見渡せる場所である。丘の麓にあった漁村は津波で壊滅し、崩れた家の残骸と壊れたボートや車でいっぱいになってしまったが、こうした高台があるおかげで、津波発生時、村民の9割が安全な場所へ避難することができた。避難所のテント生活では日中の強い陽射しや時々発生するスコールなどからは守られているものの、物資の不足は深刻だ。ランブレーを含め多くの避難所では、トイレすら十分にない。避難所に暮らす女性にとっては、トイレに行くのにも体を洗うのにもプライバシーが守られず、深刻な事態になっている。

「夫が布の切れ端を集めて、洗い場にカーテンを作ってくれたんです」と話すレヴィータだが、カーテンの長さは腰の高さにも満たない。

敬虔なイスラム教徒の多いアチェ州では、頭部を覆うスカーフなしに女性が外出することは難しい。そこで国連人口基金は、救援物資の中にスカーフも合わせて避難所で配布している。国連人口基金で公衆衛生を専門にしているヘニア・ダカック医師は、「女性が外出できなければ、救援物資を取りに行くことすらできません。私たちがスカーフを配るのは、女性の行動範囲を広げるためなのです」と述べ、国連人口基金の救援活動の一端を語った。また、ダカック医師は、こうした災害では医療施設や物資の被害だけではなく、医師や看護師そして助産師などが被災することで、地域全体の医療体制そのものが崩壊してしまうと指摘する。インドネシア助産師協会の調べでは、5,500名の助産師の約3割が津波で死亡したとされている。

国連人口基金はこれまでに、タオルやせっけんそして生理用品の入った基礎衛生キット5トン分に加え、産科ケア用に医薬品や医療器具を被災地で配布した。また、1月21日には14トンの追加救援物資がバンダアチェに到着する予定だ。物資の配布は、現地および国際NGOと協力して行なう。国連人口基金では、 GOAL、International Rescue Committee、Islamic Relief、Medecin du Mondeといった国際人道援助機関のほか、ジャカルタに本部のある女性グループ「Solidaritas Perembuan(女性の団結)」とも連携している。

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国連人口基金の津波被災者救援活動に、ドイツ政府、ノルウェー政府が追加拠出金

2005年1月24日
国連、ニューヨーク

スマトラ沖地震・津波の被災者救援のため2800万米ドルを求めた国連人口基金(UNFPA)の緊急アピールを受けて、ドイツ政府が810万米ドル、ノルウェー政府が200万米ドルを新たに国連人口基金に拠出することが明らかになった。国連人口基金では、こうした新たな資金援助の表明に歓迎の意を表している。ドイツ政府の拠出金は、津波の被害が大きかったインドネシアのナングル、アチェ、ダルサラム、そして北スマトラ州におけるリプロダクティブヘルス・サービスの再建と被災者の心のケアを行なうサポートセンターの支援に充てられるほか、現在国連人口基金がスリランカで展開する性的虐待・性暴力防止プロジェクトにかかる全費用もカバーされる。ノルウェー政府からの拠出金は、被災地域全体でのリプロダクティブヘルス・サービスの立て直しに拍車をかけるものとなる。

先週はじめには、国連人口基金に対し、日本政府から550万ドル、オランダ政府から100万ドルの支援表明があった。国連人口基金では、最も被害の大きかったインドネシア、スリランカ、モルディブの3カ国に暮らす女性被災者の緊急支援に必要だとして、2800万米ドルを国際社会に要請している。被災地には、少なくとも15万人の妊婦がおり、そのうち5万人が3ヶ月以内に出産を予定しているとされる。国連人口基金では特にこうした妊婦の健康状態を懸念している。

トラヤ・オベイド国連人口基金事務局長は、「私たちは、ドイツ、ノルウェー両政府からの寛大な支援に強く勇気づけられています。国連人口基金は、被災地で暮らす多くの人々、特に女性と少女たちのために、崩壊した保健・衛生サービスの再建や被災者の心理的サポートの充実、安全の確保を目指し活動を続けてまいります」と談話を発表した。

国連人口基金は、医薬品や清潔な医療器具など出産に必要な物資をすでに被災地で配布しているほか、女性に対する性的虐待・暴力や人身売買の防止・監視活動を展開している。災害時などの非常事態では、女性を標的にした性暴力などが頻発するとされている。

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国連人口基金:2004年度拠出国が過去最多の166カ国に

2005年1月26日
国連、ニューヨーク

国連人口基金(UNFPA)のまとめによると、同基金に対する国連加盟国からの任意拠出金の2004年度総額は過去最高の3億2600万米ドル(暫定額)、拠出国も過去最多の166カ国になることが明らかになった。拠出額の上位六カ国は、オランダ、イギリス、日本、スウェーデン、ノルウェー、デンマークの順となっている。また、国連人口基金に対する多年度拠出誓約を表明した国も2004年は40カ国を超え、過去最多となった。今回の任意拠出金額は、国連人口基金が1969年に設立されて以来最高で、これまでの最高額1996年度の3億米ドルを大きく上回る。拠出国も1999年度の69カ国から順調に増加しており、2003年度には149カ国、2004年度は過去最多の166カ国となった。

トラヤ・オベイド国連人口基金事務局長は談話を発表し、「国連人口基金がかつてない額の資金援助をこれほど多くの政府から受けているということは、各国政府が、性と生殖に関する健康/権利(リプロダクティブヘルス/ライツ)の保障や女性の地位向上そして男女平等の促進といった活動に、真剣に取り組んでいることの表れであります。1994年にカイロで開催された国際人口開発会議では、この三つの優先課題に積極的な資金援助を行なうことが合意されました。カイロ合意は、生命の保障と貧困削減を目指すミレニアム開発目標(Millennium Development Goals, MDGs)にも通じるものです」と述べた。カイロでの会議では、179カ国の政府と市民社会団体が20カ年の「行動計画」を採択したが、その「行動計画」では、家族計画を含むリプロダクティブヘルス/ライツを基本的人権としてすべての人々に保障することが謳われている。また、昨年はカイロ会議から10周年を記念してさまざまな会合が開催されたが、そこでも各国政府は政治・資金両面での一層の支援を表明した。オベイド事務局長は同じ談話の中で、昨年を振り返り、「このような支援増大は、国連加盟各国がカイロ目標達成と国連人口基金のサポートに対して全力を尽くしていることを物語っています」と述べている。

談話でオベイド事務局長は、「国連人口基金は、世界各国から寄せられた多くの支援に大変勇気づけられております」と述べる一方、こうした支援増大について冷静な判断も重要だとしている。「HIV/エイズの問題などUNFPAが携わる問題は、予想をはるかに超えてさらに深刻化しています。特に、地球で最も多い思春期の若者に対する予防やケアをより充実させるには、今後4億米ドル規模の財源を確保することが緊要だと思っています」とオベイド事務局長は話している。

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