プレスリリース 2005年6月

津波による心の傷を癒す
──国連人口基金がアチェにカウンセリングセンターを開設

2005年6月2日
インドネシア、ジャカルタ

津波により心に傷を負った生存者および暴力の犠牲者を支援するため、心のケアサービスを提供するサポート・センターが、先月、アチェ地方の被災地に4つ開設された。

国連人口基金が支援するこのセンターでは、アチェ・ベサールおよびバンダ・アチェ地区において、特に女性と若者に対し、支援グループを通じてカウンセリング・サービスを提供する。今月、さらに2つのセンターがムラボーに開設され、その他にも2つのセンターが安全状況が改善され次第、アチェ・ジャヤに設立される予定である。

国連人口基金は、インドネシア保健省により運営されているバンダ・アチェのメンタルヘルス診療所、インドネシア精神分析医協会(HIMPSI)、リプロダクティブ・ヘルスおよび女性の人権分野のイスラム教系NGO「フラワー・アチェ」、「ファタヤットNU」と連携して取り組んでいる。

アチェで採られた被災者の心理状態のデータでは、アチェ地方でのカウンセリング支援の必要性が依然として高いことが示されている。世界保健機構(WHO)の推定によると、50万人近くの人々が被災後、いくらかの精神的な問題を抱えており、約90%の家庭で一人もしくはそれ以上の家族を失っているといわれている。地方保健事務所では、アチェ人口の半数が、30年にわたる武力闘争により、津波発生以前にすでに心理的障害を抱えていたと見積もっている。

また、津波被災後のアチェでは、女性と若者には特別な注意が必要とされている。「他者への完全な依存と相まったうつ状態のため、女性や若者は虐待や搾取の危険にさらされています」と、バーナード・コクラン国連人口基金インドネシア事務所長は述べている。

国連人口基金が支援しているこの4つのセンターは「ルモ・ピュシジュク・ハティ(心を落ち着かせる家)」として知られており、住む場所を失った人々のためのキャンプや、リプロダクティブ・ヘルスサービスを提供している地域の保健センターのそばに設置されている。このセンターには、心のケアの一助として様々な宗教書が備え付けられている。カウンセラーは、必要とあらば、アチェのメンタルヘルス診療所を患者に紹介する。

センターは、国連人口基金の支援プログラムが今まで提供してきた、津波被災後のカウンセリング経験を活用している。カウンセラーは、引き続き遠隔地域の被災者のもとへ足を運ぶ。

「ほとんどの災害において、食料や避難所といった必要不可欠な需要にかかわる問題から、医療、心理、社会問題へというように、段階的な推移が見られます。しかし、今回の災害は、4つ全てが同時に起こっています。」と、HIMPSI議長のラーマット・イスマイル博士は述べた。

センターは、欧州委員会人道支援事務局(ECHO)、ドイツ政府、日本政府から拠出された200万ドルによって支援されており、12月まで運営される予定である。

心のケア・サービスに加えて、料理、裁縫、レンガ造りといった女性が収入を得ていくためのスキルを身につけるよう支援するなど、より多様な社会的支援がセンターの業務として計画されている。「生存者も働く必要があり、それぞれが収入を得ていくための活動は大いに必要とされています。これは治療の一つなのです。」と、国連人口基金の心理プログラムオフィサーであるレボ・M・プトラは言う。

センターのスタッフも、宗教・地域の指導者やキャンプの管理者に対して、ジェンダーの平等および人権擁護を主張していきます、と彼は付け加える。

国連人口基金は、この心のケア・センターに加えて、国家家族計画調整委員会および女性エンパワーメント地方事務所が運営する女性センターによって管理されている、サキナ・ファミリーセンターの再設置を支援する。両者は共にカウンセリング・プログラムを提供する。

リプロダクティブヘルスおよび人口プログラムに対する支援を行う世界最大の多国間機関であるUNFPAは、津波後の人道的取り組みが、女性と若者の特別なニーズを確保するべく活動を行っている。

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エイズ撲滅のためには、より強いリーダーシップが求められている
──国連人口基金事務局長語る

2005年6月2日
国連、ニューヨーク

「エイズを予防するための努力が非常に不十分である現状を見ても、世界各国のエイズ対策におけるHIV予防を緊急に加速させるには、勇敢で専心できるリーダーシップが必要です」とトラヤ・オベイド国連人口基金事務局長は述べた。

「さらなる行動をおこさなければ、10年後には100万を超える人々がHIVに感染してしまうでしょう。また、新たな感染症にも大きな減少が見られなければ、治療を必要とするHIV/エイズ患者の数に対応することができなくなってしまいます。治療とケアを含んだ予防対策の拡大が必要なのです。」

「予防戦略が増え続けても、感染の危険性のある5人のうち診療を受けることが出来る人々は1人にも満たないのです。昨年だけでも500万人近い人々が新に感染しています。だからこそ、生活に根ざした予防対策の情報や、教育、サービスの提供を充実させることが非常に重要なるのです。」

オベイド氏は、国連人口基金・国連薬物犯罪オフィス(United Nations Office on Drugs and Crime)共催のHIV/エイズ予防の取り組みや評価を話し合う特別総会の一つ、HIV/エイズ予防会議にて発言した。ここでの議論の抄録は、開発目標達成にむけた世界的な取り組みの中間評価が行なわれる次の9月ミレニアム会議(September's Millennium summit)で発表される。

HIV/エイズとの戦いの最前線にいるのは、活力があり、指導者となりうる強い信念を持った若者達である。「私たちは、若い人々の声に耳を傾け、そして、彼らの生涯において共にHIV/エイズを克服するために、彼らの指導力をサポートしていく必要があります。若い人々への投資こそが、長期的に変化をもたらすことのできる唯一の方法なのです。」若者に対して、学校の内外で、HIV/エイズに関するライフスキルと教育とを結び付けていく必要がある。

「私たちは、女性や思春期の少女の感染率増加を食い止めなければなりません。」とオベイド氏は述べ、彼女たちが社会的、経済的に厳しい立場にあるがゆえに、HIVに対し特に脆弱性を有しているグループであることを強調した。続けて、「国連特別総会(UNGASS)、ミレニアム開発目標の達成に向けて、私たちは、教育、リプロダクティブ・ヘルスのサービスやリプロダクティブ・ライツの完全普及を確実なものにしなければなりません。」と述べた。

感染率を減らす方法として、「女性の権利を促進し、保護する」、「女性用コンドームのように、女性自身でコントロールできるような方法を提供する」、「女性や少女を危険にさらす慣習を変える」、があげられる。

「もし、私達がレーザー光線のように教育や情報、サービスを拡大することに焦点を当てることができるならば、困窮している人たちにも手を差し伸べることが出来るでしょう。」とオベイド氏は述べた。「私たちが自身に誓ったことを守れば、我々は自分自身に課した目標を達成し、HIV/AIDSを減らすことが出来ます。今絶望が存在するところに希望を取り戻し、懐疑を信頼に置き換えるのです。」

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フィリピンの人口学者、グアテマラ最大の家族計画活動グループが、2005年国連人口賞の受賞者に

2005年6月8日
国連、ニューヨーク

国連人口賞審査委員会の議長であるケニア共和国大使ジュディス・バヘムカ氏が、今年世界各国で推薦された個人と団体から2人の受賞者を選定した。 審査委員会は国連加盟国10カ国の代表で構成され、国連人口基金は事務局を務めている。両受賞者には、7月の国連本部で開催される授賞式にて、表彰状、金のメダル、賞金が授与される。

個人部門での授賞となるメルセデス・コンセプション氏は、国際人口統計学と、家族計画の分野で実績があり、フィリピンにおいて、1985年から国際人口学連合の名誉会長を務め、また、米国人口調査局、東京にある国連大学の諮問委員会のメンバーとして、活躍している。コンセプション氏はこれらの活動を通して、フィリピンの人口調査及び開発政策において多大な貢献をしている。

団体部門での授賞となるAPROFAMONGは1964年に設立され、民間の非営利、非宗教団体として、リプロダクティブ・ヘルス教育とグアテマラにおける家族問題のケア、及びカウンセリングを提供している。また、低所得の人々に質の高いリプロダクティブ・ヘルスサービスの提供をミッションとしており、グアテマラのリプロダクティブ・ヘルス分野でイニシアチブを取っている。開発計画におけるジェンダー問題を取り上げるなど、その活動は、国内の人口およびリプロダクティブ・ヘルスプログラムのための法的整備や実施のための枠組み作りに役立てられている。また、人口に関するより実質的な提案を政府に示すほか、グアテマラのより正確な人口統計データを収集および提供を行なっている。

国連人口賞の審査委員会は経済社会理事会(ECOSOC)が国連加盟国の代表から3年ごとメンバーを選出している。現在はアルジェリア、バングラディシュ、ベラルーシ、カメルーン、ガイアナ、ハイチ、イラン、ケニア、オランダ、ペルーの代表がメンバーを務めており、コフィ・アナン国連事務総長、トラヤ・オベイド国連人口基金事務局長も職務上メンバーとして参加している。

今年の国連人口賞は13人の個人と10の団体を含む計23組が推薦された。2003年度は9人の個人と8つの団体を含む17組が推薦された。推薦することが出来るのは国連加盟国、人口に関する活動を行う政府間機関、国連諮問機関として指定されている人口問題に関わるNGO、人口や人口に関する教育を行う大学教授、人口に関する活動を行う機関の代表、そして過去の受賞者である。

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あまりにも多くの女性が出産時に死の危険にさらされている、開発目標の中間報告にて発表
──飢餓、貧困、疾病を克服するためにはジェンダーの平等が必要

2005年6月9日
国連、ニューヨーク

「出産のために一分毎に女性が死にさらされる世界を変えなくてはなりません。」と、本日、国連人口基金事務局長トラヤ・オベイド氏が述べた。

「私たちは、何百万の女性が不幸にも妊娠や出産によって命を落とすのを防ぐために、なし得る全てのことを行い、より思いやりのある世界を作っていかなくてはなりません。このような悲劇的な死をどのように回避すべきか手段を知っているのですから、なおのことです。」と、オベイド氏は2000年に世界の指導者達によって合意されたミレニアム開発目標(MDGs)を達成するための進歩と課題に関する報告の冒頭で述べた。「リプロダクティブ・ヘルス・サービスが行き届かないがゆえに命を落とすことがあってはならないということに、世界の国々が同意して随分経ちます。本日の報告は、家族計画を含めたリプロダクティブ・ヘルスケアの完全普及が母体の健康と女性の命を守るスタート地点であることを再度主張するものです。」

「母体が健康であれば、女性は職業や教育を受ける機会が広がり、家族そしてコミュニティの生活を向上させるような意思決定の力を持つことができます。」とオベイド氏は述べた。「本日の報告で指摘するように、女性のエンパワーメントは、貧困や飢餓、疾病の克服、また全ての開発目標を達成するために不可欠のものなのです。」

「この5年間で前進した部分もありますが、本日の報告を見ても、貧困を削減し世界の人々の命を救うにはもっとたくさんのことをしなくてはいけないということが明確に示されています。」とオベイド氏は述べた。「少女や女性の権利を高めること、リプロダクティブ・ヘルスを守ること、そして性感染症特にHIV/エイズから自身を守る方法、これらは先進国、開発途上国を問わず、全ての国にとって開発目標を達成するための最も確実な方法なのです。」

「ミレニアム開発目標レポート2005は、MDGsと1994年ICPDで採択された行動計画が密接に関わりあっていることを明白にし、その中でさらに、生活を維持し貧困と闘っていく上でのリプロダクティブ・ヘルスの役割も強調しています。」とオベイド氏は述べた。

報告では、求められている家族計画サービスが発展途上国の全ての女性に行き届けば、その国の妊婦死亡の危険は十分に減らすことができるとされている。現在、安全で効果的な避妊サービスを必要としていながら、それらがまだ行き届いていない女性は2億人いるとされている。

WHO(世界保健機構)によると、もしこのような女性が効果的な避妊薬具を使用すれば、毎年10万人、つまり世界全体の1/5の妊産婦死亡が避けられるとされている。

報告の中では、さらに、予期せぬ困難に直面している妊婦にとって、医療ケアを受けることや薬剤や設備、備品が整っている産科救急ケアセンターへのアクセスがあることは不可欠であると指摘している。

ミレニアム開発目標レポート2005は、HIV/エイズの拡大を防ぐより実践的かつ進歩的なアプローチの必要性を主張するものである。「AIDSの完全な治療方法は存在しません。予防が全てなのです。そして、100万人以上のHIV感染者にケアが行き届くよう拡大させていかなければなりません。」

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ギニア、リベリア、コートジボワールの紛争後の国境付近において、難民・国内避難民間HIV/AIDSの感染予防プロジェクトを開始。

2005年6月10日
シエラレオネ、フリータウン

ギニア、リベリアとコートジボワールの紛争終結後の国境地帯における、難民や避難民、およびその受入れ地域でのHIV/エイズや他の性感染症の拡大を防ぐ三年間のプロジェクトが本日立ち上げられた。

750万ドルを予算とするこのプロジェクト運営全般を担当している。ファマ・ハネ・バー国連人口基金アフリカ局長は、「皆様が今日このプロジェクト立ち上げの場に参加して下さったことは、紛争中・紛争後のHIV/エイズと闘うための、我々の一致団結した取り組みに対する強い関心を、はっきりと示しています。」と述べた。また、「紛争は基本的な社会サービスへのアクセスを著しく妨げます。そして住民は、安全、食料、避難場所を求めて逃げるので、避難民とならざるを得ません。このような悲惨な状況の下で、HIV/エイズは、地域の人道的危機への対処能力に影響を与えるでしょう。」とも述べた。

このプロジェクトは、およそ100万人の人々に利益をもたらし、そのうち50%は子供、35%が女性世帯主であることが予測される。プロジェクトが施行される地域は、コートジボアールのダナネ(Danane)、リベリアのニンバ(Nimba)、ギニアのグエチェドー(Gueckedou)、シエラレオネのケネマ(Kenema)の4ヶ所となっている。

このプロジェクトのパートナーは、ギニア、リベリア、シエラレオネ、そしてコートジボアールの国立エイズ事務局、国連人口基金(UNFPA)、世界保健機構、国連開発計画、国連難民高等弁務官事務所、国連エイズ合同計画、国連児童基金、アフリカ開発銀行、マノ川同盟事務局、NGO、そして避難民の代表から構成されている。

アフリカ開発銀行の報告によると、4カ国において、190万人の人々がHIVに感染していると推計される。約14万人がエイズにより死亡し、90万人の子どもが孤児となった。

全体的な数字としては比較的少ないものの、国境付近は、HIVやその他の性感染症が蔓延しうる潜在的条件がそろっており、難民や国内避難民、およびその受け入れ地域が危険にさらされている。高い人口移動率と、低い識字レベル、設備の乏しい健康センターや薬物使用、避妊手段をとっていない性交渉がその要因となっている。

本プロジェクトに融資しているアフリカ開発銀行の西部・中央部諸国の事業責任者であるユーセフ・モハメド氏は、「マノ川連合諸国内およびその国境を超える難民と帰還民の人口過密と頻繁な移動が生じている。これらの人々は基礎的な保健医療が受けられず、HIV/エイズなどの性感染症に感染する危険が高く、より一層の国家間の協力を必要としている。」と述べた。「更に、該当4カ国と、これら諸国の国境付近における人口移動の流動性との複雑な関連を考慮すると、HIV/エイズとの戦いは一国の国家レベルでは解決することができない。」と述べた。

プロジェクトでは、2015年までにこの地域におけるHIV/エイズの蔓延を阻止し、さらには感染を減少させることを目的としている。これはミレニアム開発目標の一つでもある。更に、輸血の際に血液検査を100%実施すること、特にリスクの高いグループの80%に対し、より明確な情報を把握し、責任ある行動を取るよう促進すること、二人に一人の割合で若者がコンドームを使用するよう奨励すること、HIVに関する自主的なカウンセリングと検査サービスを 80ヶ所の施設において提供すること、性感染性の実態の9割を把握すること、8000人のエイズ感染者に対する医療と精神面での支援、また HIV/エイズに感染している80%の妊産婦の母子感染を予防することを目標としている。

「私たちは、国境地域で生活している人々に必ずこのプロジェクトが行き届き、そして見落とされないようにしなければなりません。」と国連人口基金シエラレオネ代表のディアロ・ママデゥ博士は語った。さらに、「この問題に取り組んでいかなければ、4カ国の国々での成果は損なわれてしまいます。それを防ぐためにも誰一人としてこのプロジェクトの対象から抜け落ちてはならないのです。」と述べた。

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世界難民デー:難民へのリプロダクティブ・ヘルスケア支援、10年を迎えて
──この10年で、難民女性の出産の安全性が向上

2005年6月20日
国連、ニューヨーク

スーダンのダルフール地方での紛争で、ハッジャ(Hajja)と彼女の家族は家からの避難を強いられた。その時すでに彼女は妊娠4ヶ月目であった。55キロにもわたる灼熱の砂漠を歩き続け、たどり着いたのは、カルマ(Kalma)の国内避難民キャンプであった。キャンプには産婦人科施設があり、疲弊しきったハッジャに、彼女と生まれてくる子供の健康を守るための緊急産科ケアが提供された。今月の初めに、ハッジャは施設の助産師の介助を受け健康な女の子を出産し、その子に"Hope(希望)"と名づけた。

カルマの産婦人科施設には2人の医者、4人の医療スタッフ、そして2人の助産師が働いている。彼らは、一日に60人もの避難民女性と接し、出産前及び出産後ケアに至る家族計画からHIV予防を含む性的暴力への取り組みまで様々なサービスを提供している。

緊急事態におけるリプロダクティブ・ヘルスの軽視は、妊産婦や胎児の死亡、望まない妊娠そして性感染症の流行といった、深刻な結果を引き起こしてしまう可能性が非常に高い。

しかし、国連人口基金によると、1990年代初期より以前まで隔離された場所では、カルマでなされているようなリプロダクティブ・ヘルスのサービスは、ほとんど提供されてこなかったという。

「世界難民デー」(6月20日)でのトラヤオベイド 国連人口基金事務局長の発言によると、ほんの10年前まで、難民女性は子どもを抱え続け、性的暴力やHIV感染に関して非常に危険な状態に晒されているという実態に、ほとんど目が向けられていなかった、という。

「私たちは、長い道のりのなか歩を進めてきました。その中で、難民に対しリプロダクティブ・ヘルスケアを提供することが、食料、水、住居といった生活の向上のための必要条件と同等なのだという意識が、人道支援に取り組むパートナーやドナー間において高まっていくのを目の当たりにしてきました。これは、どちらか一方を、という条件ではなく、私たちは両方とも提供しなければならないのです。」

UNHCR、国連人口基金、コロンビア大学そしてその他の機関によって行なわれた評価によると、難民のためのリプロダクティブヘルス・サービスが、 1994年にカイロで行なわれた国際人口開発会議で人道支援の一つであるとして議題となって以来、劇的に改善されていると報告されている。会議では、難民のリプロダクティブ・ヘルス向上に取り組む国連組織とNGOとの連携が強化された。

この合同評価で、リプロダクティブ・ヘルスケアの少なくとも一部ではあるが、多くの難民が利用することが可能となっているとの報告がある。また、緊急を要する状況下の地域でも、ケアの利用が次第に可能となってきているとも述べられている。しかし、そういったケアへの資金援助に関しては、食料やその他に人道支援としてよく認知されている分野と比べて、はるかにその水準が低いとも報告されている。

研究においては、国際的な難民の倍以上存在している国内避難民がリプロダクティブヘルス・サービスへアクセスすることが今最も困難であることも明らかになった。それら国内避難民にアクセスを提供していかなければならないことなどUNHCRや国連人口基金といった機関がなすべきことは、この過去10年間広がり続けている。しかし、財源不足そしてアクセスが困難であるということがあいまっている状況は、多くの人々におけるリプロダクティブヘルス・サービスがいまだ限られている、あるいは全く行き届いていないということを示している。

ハッジャはそういった状況の下で、幸運であったことが言える。2003年3月のダルフール地方における紛争勃発によって発生した100万人を超える国内避難民の多くは、いまだ人道支援機関の手の届かないところにいる。国連人口基金は、ダルフール地方全域にわたり、カルマにあるような国内避難民キャンプにおけるリプロダクティブヘルス・サービスの改善、さらに出来うる限り多くの国内避難民にリプロダクティブヘルス・サービスが行き届くようその拡大に取り組んでいる。

「10年前と比べ、今日の難民女性における妊娠や、性的暴力や性感染症から身を守ることに関する安全性は高まっています。私たちは、あらゆる場所の全ての避難民に対して、それら非常に重要なサービスが行き届くよう、引き続き共に取り組んでいかなければなりません。」とオベイド氏は述べた。

合同評価報告書URL:http://www.iawg.net/resources/2004_global_eval/

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津波から半年:リプロダクティブ・ヘルスの地位を復活させ、女性の権利を向上させるための国連人口基金の活動

2005年6月24日
タイ、バンコク

インド洋での地震と津波から半年が経過した今、国連人口基金にとって最大の優先事項は、被災した人たちに対し良質なリプロダクティブ・ヘルスサービスを提供することである。

国連人口基金が行なった資金援助は、インドネシア、スリランカ、モルディブ諸島、タイ、そしてインドで被害を受けた医療関係当局が設備を再建し、設備内に補充し、スタッフを訓練するために使われている。これは被災地で妊娠中の女性が安全な状況下での出産、必要時は緊急医療援助を受けることを可能とし、カップルが家族計画を立てられるようにするためである。

また、国連人口基金は津波被災後の生存者、特に女性に対し、ニーズの充足と尊厳の確保のために、基礎衛生キットや清潔な出産器具、避妊薬具、心のケアサービスを引き続き提供している。また、様々な団体と連携して、被災地域における女性の権利を向上させ、また、性的暴力を予防するための活動を行なっている。

国連人口基金のウェブサイトでは、現在、「被災地での女性のニーズ」「アチェの未来を支援する」と題し、アチェ州での支援活動を報告している。この報告では、国連人口基金の資金援助が州や地区の衛生局や助産師協会、家族計画委員会の対応能力の強化に充てられ、リプロダクティブ・ヘルスサービスの提供に役立てられていることを言及している。国連人口基金は災害で破壊された様々なサービスを復旧するために8つのプライマリーヘルスセンターを改修し、さらに地域保健所と可動式医療設備を設立し、避難地域の人々への援助活動を行なっている。

国連人口基金は、復興と現在進行中の避難民支援を促進するための基金を設立し、州単位で国勢調査を行なうための技術供与を行っている。これは、政策立案者に、男女間での被害の違いを含めた津波の影響と、社会福祉拡大の必要性をよりよく理解してもらうことを目的としている。

国連人口基金はスリランカの保健省への援助を通じ、被害を受けた12の地域のうち9つの地域でプライマリーヘルスケアセンターや分娩室を含む20の施設を修復し、基礎的なリプロダクティブ・ヘルスサービスと緊急産科ケアサービスの復旧を行なっている。モルディブ諸島では、6月1日に署名された政府との合意の下、国連人口基金の援助資金が医療施設の修復、設備の充足、スタッフの訓練のためにあてられる。さらに同国で最も大きな被害を受けた、ラア環礁、メーム環礁、タア環礁、ダ-ル環礁、ラーム環礁での可動式医療設備の設置にもあてられる予定となっている。

タイでは、タイそしてミャンマーからの移民コミュニティに、可動式医療設備を設置しさらに医療ボランティアを通して、リプロダクティブ・ヘルスニーズ、 HIV/AIDS予防の促進を行なっている。インドでは、タミル・ナドゥにおいて妊産婦の健康維持に必要な設備と必需品を提供し、女性と若者に対して心のケアサービス*を提供している。

アチェでは、国連人口基金が主導となり、トラウマを抱えた生存者に対しカウンセリングを行う8つのコミュニティセンターが設置され、NGOが運営をしている。これらのセンターは女性が経済的に自立するための技術提供も行っている。スリランカでは、地域の医療従事者の能力強化を取り入れるかたちで、精神的、社会的な心のケアを推奨するよう政府を支援し資金の提供を行なった。また当局者や地域の医療従事者に性的暴力を防ぐ訓練も行っている。

これらの復興活動は、安全な出産や公衆衛生に関する器具の供与、そして暴力等の予防といった女性特有のニーズを満たすという国連人口基金の救援活動目的に沿って行なわれている。すでに25万セット以上の衛生キットと大量の薬品、医療設備、避妊薬、安全な出産用品が、政府およびパートナーNGOを通じて提供されている。国連人口基金には津波被災援助にむけてドナー国より2600万ドルが寄付されている。

「この恐ろしい悲劇の余波の中、生存者に食料や水、避難場所とともにリプロダクティブ・ヘルスケアが必要だということを国際社会が認識していることは大きな励みとなっています。私たちは復興が行なわれている間にこれらのニーズが忘れ去られないよう心に留めておかねばなりません。」と、トラヤ・オベイド国連人口基金事務局長は述べた。

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国連人口基金とスペインの協力体制を強化する新たな協定が結ばれる

2005年6月28日
国連、ニューヨーク

人口移動、高齢化、またHIV/エイズなどの人口問題における新たな課題とそれらの重要性を正式に承認する新たな協定が今日、国連人口基金(UNFPA)とスペイン政府との間で結ばれた。

「私たちは今日、スペインとの新たな協力体制に入ることができました。」とトラヤ・オベイド国連人口基金事務局長は述べた。オベイド 国連人口基金事務局長はさらに、この合意はスペインがリプロダクティブ・ヘルス/ライツの問題を含む多国間協調主義へ深く関与することを確約するものであると指摘する。

国連人口基金ニューヨーク本部にてオベイド事務局長とスペイン外務・国際協力大臣のレイア・パジン・イラオラ氏によって調印されたこの合意により、1994年のカイロ国際人口・開発会議で制定された目標の実現へ向けた国連人口基金の重要な役割があらためて認識された。また、これにより極度の貧困および飢餓の撲滅、一律の初等教育の実現、男女平等の推進、妊産婦・乳幼児死亡率の削減とHIV/エイズ蔓延の防止の目標を掲げるミレニアム開発目標を達成するための国際的な協力体制が強化されることになる。

イラオラ外務・国際協力大臣もまた、最貧層にいる女性の苦境とリプロダクティブ・ヘルス/ライツにより一層の焦点が当てられるべきであると呼びかけた。

「この問題には十分な注意が払われなければなりません」とイラオラ氏は述べる。「私たちはミレニアム開発目標の、特にジェンダーと男女参画に焦点を当てた目標の達成のためにさらなる努力をしたいと考えています。」

今回の枠組み合意により、今後、スペイン国内外での支援プログラムやプロジェクトの設立における国連人口基金・スペイン間の相互協力体制が強化されることが期待される。具体的には、ジュニア・プロフェショナル・オフィサー(JPO)や国連ボランティアの訓練、そして人口移動に関する専門知識や技術の情報交換プログラムなどがある。

国連人口基金の長年の主要ドナーであるスペインは、2004年度には78万7128ドルを拠出した。スペインは現在、欧州連合国を対象にバルセロナ基準で制定された目標にあわせ、2006年までに政府開発援助額を国民総所得(GNI)の0.33パーセントにすることを見込んでおり、また、2012年までにはこの数値を0.7パーセントにまで引き上げることを目指している。

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報道関係者各位:
政府高官によるミレニアム開発目標達成にむけた健康改善による影響の調査

2005年6月28日
国連、ニューヨーク

保健・衛生に関する円卓会議

・ 公衆衛生、特にリプロダクティブ・ヘルスの改善が、どう妊産婦死亡率とHIV/エイズ蔓延の普及を削減し、2015年までに貧困を撲滅することができるのか。

・ どのようにすればリプロダクティブ・ヘルスへの支援がミレニアム開発目標を達成するために貢献出来るのか。

・ 妊産婦死亡率は、家族や地域社会の生活の質にどのような影響を与えるのか。

・ 各国が貧困緩和における健康改善のために、どのような課題に直面しているのか。

・ 保健制度・医療制度を強化させ、困窮している人々のための重要なサービスへのアクセスを保証するには何が必要であるのか。

・ HIV/AIDSや結核症、マラリアを含む主要な死因に対してどのような対処をしていけばよいのか。

これらの項目を含むさまざまな議題は、官僚級会合の一つである国連円卓会議での焦点となる。この官僚級会合では、国連会議やサミットで出された結果、進捗、課題の履行、および、世界が協調して取り組むべき開発目標、それらを含むミレニアム宣言を達成すること、を主な議題としている。

議長:
Carin Jamtin, 国際開発協力相

パネリスト:
Eugene Camara, ギニア計画相
Thoraya Ahmed Obaid, 国連人口基金事務局長
Joy Phumaphi, WHO事務局長補(家族と地域の保健)
Victor Ortega, UNAIDSニューヨーク事務所次長
Steve Stedman, 国連事務総長特別顧問

会場:
国連本部 第7会議室

開催日:
6月29日水曜日 午後3:00-4:30

主催:
国連人口基金(UNFPA)、世界保健機構(WHO)、国連エイズ合同計画(UNAIDS)

この会議では、国連人口基金がリプロダクティブ・ヘルス/ライツへ向けた将来の支援を概説する出版「貧困削減とミレニアム開発目標達成に向けて:リプロダクティブ・ヘルス/ライツ支援の主張」も取り上げる。

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リプロダクティブ・ヘルスへの投資の有益性を国連人口基金が再確認

2005年6月29日
国連、ニューヨーク

国連人口基金(UNFPA)の最新の報告書によると、避妊具を必要としている発展途上国の2億人の女性のすべてのニーズが満たされれば、毎年1,500万人の女性と子どもの命が救われ、望まれない出産の数が72パーセント減少する見通しであることが分かった。望まれない妊娠が減れば、女性や子どもがより健康になり、妊産婦および乳幼児の死亡数が減ることになる。

この報告書"Reducing Poverty and Achieving the Millennium Development Goals"に記された、リプロダクティブ・ヘルスへの投資により将来見込まれる結果には、より健康で生産的な個人や家族、そしてより強く豊かな国家の姿が反映されている。

これらの報告は、今日国連本部で行われた、様々な政府や国連機関の代表者による保健衛生に関する円卓会議の議場で発表された。

家族やコミュニティにおける福利を向上し、経済を景気づけ、女性と子どもの命を助け、そしてHIV/エイズの蔓延を抑制することなどがリプロダクティブ・ヘルスの利点であり、ミレニアム開発目標(MDGs)を達成するための長い道のりを支えるものである。

この報告書によると、リプロダクティブ・ヘルスの不足は、全女性の3分の1、男性と女性を含む全世界の5分の1の疾病や障害の原因であるとされている。

全世界の60億人の人口の約半分は25歳以下であり、それら若年層の中でもっとも人数の多い世代は今、生殖可能な年齢に差しかかり、労働力としても期待されている。これらの若者がどう暮らしていくかにより、その国の将来の発展が大きく左右されることになるだろう。若者の健康や発達への今日の投資は、彼らの栄養状態を改善し初等教育を施してきた以前の投資を引きつぎ、さらに強化するものである。

特筆すべきは、性の健康やリプロダクティブ・ヘルスへの投資は、身体的および精神的な利益に加え、教育・住居・食糧などの社会サービスへの公共投資を含めた、保健分野だけにとどまらない経済的な利益をももたらすという点である。例えば、家族計画に投資される1ドルあたり、将来タイで16ドル、エジプトで 31ドル以上の節約につながるとされる。

家族計画へのアクセスは多産を抑制し、死亡率を低下させ、より多くの若者が労働市場で活動することを可能にし、マクロレベルで大きな経済効果を生み出す「人口の好機」をもたらす。報告書によると、被扶養者に比べ多くの労働者が潜在することにより、「より多い短・中期の貯蓄と投資を通じて、国家の経済成長率を押し上げることができる」とされている。「人口の好機」は、途上国における貧困を2000年から2015年の間におよそ14パーセント減少させることができるだろう。

また、この報告書は、実践的なリプロダクティブ・ヘルスへの投資方法をいくつか提起している。それらは、今年初頭に多くの閣僚や議員、多国間組織、市民団や青年団の代表者たちによって是認された"Stockholm Call to Action"の中にも含まれている。その文書では、女性のエンパワーメントや公平な保健システムを実現させるため、リプロダクティブ・ヘルスとHIV/エイズへの取り組みをより連携させ、若者の健康と発達を促進させるための投資を呼びかけているほか、開発と安全保障と人権の相互依存関係を強調している。

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