プレスリリース 2005年8月

「Chasing the Dream(夢に向かって)」ニューヨークで若者による写真展覧会開催

2005年8月12日
国連、ニューヨーク

ニューヨーク国連本部で行われた記者会見にて、「夢に向かって~ミレニアム開発目標(MDGs)と向き合う若者たち」写真展覧会で作品を出展した2人の若者が、貧困、HIV/エイズ、不名誉、社会的孤立を克服した経験について語った。本日から開催される写真展では、ミレニアム開発目標8つの目標を描く写真を展示する。使い捨ての安いカメラを手に8人の若い写真家達は、ブラジル、カンボジア、インド、ジャマイカ、ウガンダ、モロッコ、ウクライナ、ウガンダ北部キャングワリ避難民キャンプでの貧困生活について、その詳細を語った。展覧会では、若者自身によって撮影された写真とともに、評価の高い写真家の作品や、世界報道の審査委員長であるアルゼンチンのディエゴ・ゴールドバーグ氏の写真も展示されている。

国連人口基金(UNFPA)事務局長トラヤ・オベイドは、「若者は自ら発言する機会を持つべきである」と支持し、国連人口基金ユース・アドバイザーであるカケンヤ・ンタイヤに代弁を求めた。ンタイヤは「今、世界の若者の人口数は歴史上最多となり、世界人口の半分が、25歳以下となっています。」「若者のニーズや権利は今や選択の余地が残っている課題ではなく、まして緊急の優先課題項目の最後に加えるものでもありません。」と述べた。

キングストン(ジャマイカ)出身である19歳のジェイソンは、HIV陽性である。コンサートやダンスホールでのクラブ遊びをして過ごした思春期を終え、 17歳の時に自分が血清反応が陽性であると知った。感染していることを知り、彼にとって考えられることとは自殺だけであった。多くの若者と同じく、ジェイソンは両親と会話をすることが苦手であり、また安全ではないセックスが及ぼす危険性について、HIVによる脅威について十分な知識を持っていなかった。「家に帰っても、僕は家族にそれを知らせる勇気はありませんでした。」と語った。ジェイソンが崖から自殺を図ろうとした時、見知らぬ男性が彼を引き止めた。彼は「君の抱えている問題がどんなものでも、君をその苦しみから救ってくれる人は必ずいる。」と言い、ジェイソンを一生涯自殺から思い止まらせた。

ジェイソンは家に帰り、家族に真実を伝えた。そして現在、カリブ諸国で二番目に高いHIV感染率である彼の母国において、HIV/エイズの認識を広げるために、彼自身のことについて話をしている。彼は、彼に生きる意味を与えてくれた、NGOジャマイカ・エイズ・サポート(Jamaica AIDS Support)を信頼している。秋には学校教育を終える予定である。

ブラジル出身の19歳の少女ウリディア(Urideia)は、養育放棄を記録している。彼女は幼い頃に両親に捨てられ、ブラジル北部で祖母に育てられた。祖母は愛情を持って、彼女を育ててくれたが、彼女は両親から受け入れられることを望んでいた。彼女が父のもとへ会いに行った日の事を思い返していた。「私はまっすぐに父のもとへ歩いて行って、私はあなたの娘です、と言ったら、彼は奇妙な表情で私を見つめて、俺には息子しかいない、と言いました。」

ウリディアは途方にくれ、スラム地区ファベーラ(favela)に住む疎遠になった母親と生活するために、サンパウロへと向かった。環境は不快なものであったが、彼女は一生懸命勉強し、学校では成績トップで、さらに大学の奨学金を得た。しかし、大学側らが彼女の入学を許可せず、彼女の夢は打ち砕かれてしまった。ファベーラ出身であったことが、彼女が入学を許可されなかった理由である。大学側にとって、彼女の出身が彼らの慣例に相応しくなかったのである。

「私は勉強がしたかっただけなのです。あの女性(大学側)の目を見た時に、その奥に偏見があることを感じました。たった一つの単語で私の人生は完全に壊されてしまうのだと気づきました。」と、彼女は述べた。彼女がより良い人生を送っていくために闘い続けていく力を与えたのは、シティズン・クック(Citizen Cook)プロジェクトであった。同プロジェクトは、NGO リナ・ガルビーニ(Lina Galvini)、若者雇用ネットワーク(Youth Employment Network)、ILO(国際労働機関)や世界銀行との協力のもと立ち上げられたものである。ウリディアは大学入学と、将来自分が経営するレストラン持ちたいという夢を今も持ち続けている。

「夢に向かって」と題された140枚の写真の展覧会は、フィンランド政府からの支援金をもとに、国連経済社会理事会(DESA)、アフリカ経済委員会 (ECA)、国連教育科学文化機関(UNESCO)、国連人口基金(UNFPA)、国連ミレニアムキャンペーン、世界銀行、ユース・エンパワーメント・ネットワーク(Youth Empowerment Network)の協力を得て、関連国連機関の主導で行われた。展覧会はピクセルプレス(Pixel Press)によって開催されており、2005年10月28日まで、ニューヨーク国連本部で行われる。

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ラテンアメリカおよびカリブ諸国における、ヘルスケア改善・妊産婦死亡削減のための6つの方策を提言

2005年8月22日
メキシコ、メキシコシティ

ラテンアメリカおよびカリブ諸国におけるミレニアム開発目標の会議で作成された中間報告で、地域のヘルスケア改善と妊産婦死亡の削減のための6つの方策が提言された。報告書はメキシコ大統領ビセンテ・フォックス(Vicente Fox)と現在メキシコシティに駐在しているいくつかの国連機関によって発表された。

統計から、地域内で妊産婦死亡に大きな格差があることが明らかになった。ウルグアイ、チリ、キューバ、セントルシア、アルゼンチン、ブラジル、コスタリカの少数グループでは、妊産婦死亡率が50/10万人以下である一方、ハイチは520/10万人という、非常に高い率であった(グラフ参照)。

報告書の提言内容:

・ 貧困、ジェンダー、人種、民族、年齢に影響を与える不平等なヘルスケアへのアクセスの実質的削減

・ 社会保護計画に基づいた、健康保険の向上

・ ヘルスケアに支出する公共部門の増加

・ 新たなプライマリー・ヘルス・ケア方針による利用者の積極参加

・ 病院や医療設備などの公衆衛生インフラの改善

・ ミレニアム開発目標の保健医療関連項目達成に影響を持つ政策および行動計画の策定

メキシコの国連人口基金(UNFPA)カントリーサポートチーム(CST)所長 ロゲリオ・フェルナンデス・カスティヤ(Rogelio Fernandez Castilla)は「妊産婦死亡率は女性の権利と貧困の問題に密接に関連しています。それはジェンダーの不平等を指し示すものでもあります。この問題は、健康に関連する問題よりもずっと大きいのです。」と述べた。

妊産婦の健康の改善は、ミレニアム開発目標5である。行動目標は、1990年から2015年の間に妊産婦死亡率を3/4減少させることである。この開発目標は、2000年9月ニューヨークで開催されたミレニアムサミットで世界の指導者たちによって合意された。

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ニジェールの食糧危機、妊産婦への危険
国連人口基金が緊急リプロダクティブヘルス支援に400,000ドルを要求

2005年8月24日
セネガル、ダカール

ニジェールでは、現在食糧危機のため、妊娠中または授乳中の女性の栄養不良状態が深刻化しており、特に大きな被害の受けた地域ですでに高い妊産婦および乳児死亡率と疾病率をさらに助長する恐れがあることが、国連人口基金(UNFPA)ニジェール事務所の報告で分かった。

国連人口基金はこの脅威に対し、被害を受けた数十万人の妊娠中または授乳中の女性の妊娠や、出産に伴う合併症予防のための緊急リプロダクティブヘルス支援40万米ドルを要請している。

ニジェールは世界で最も妊産婦死亡率の高い国の一つであり、女性7人のうち1人が妊娠に関わる原因で死亡する危険性がある。妊娠中、または授乳中の女性が必須ビタミンやミネラルなどの適切な栄養を摂取できるようにすることで、妊産婦および子どもの死亡や出生異常、失明、貧血、病気に対する脆弱性を削減することができる。専門家は、母親の栄養失調を削減することで乳児の身体障害を3分の1まで減らすことができると推定している。

国連の推定によると、ニジェールの全人口約1,200万人のうち約360万人が、現在の食糧危機で被害を受けているとされている。そのうち約270万人は極度に脆弱で、食糧援助が必要とされている。さらに、それら被害を受けた人々の中でも妊娠中または授乳中の母親は最も危険にさらされているグループであり、26万1,000人以上の女性が救急治療を必要としているとされている。

国連人口基金ニジェール代表マーレーン・フランソワ・レイズ(Marlene Francois Lays)は、「私たちが現在ニジェールで直面しているような人道危機の際には、妊娠中または授乳中の女性とその子供たちが極めて脆弱なのです。」「国連人口基金は食糧提供の現場を通じて、そうした女性が健やかな妊娠と安全な出産ができるよう手を差し伸べています。私たちは政府や他の国連機関、パートナー NGOと協力して、この人道危機の中で女性が安全なリプロダクティブ・ヘルスケアにアクセスができるよう活動を続けています。」と述べた。

本日、国連事務総長コフィ・アナンとナーン・アナン(Nane Annan)はニジェールでの二日間の滞在を終える。二人は加速する砂漠化や、長引く干ばつ、度重なるイナゴの大量発生に取り組む上で、政府とニジェールの人々との結束を強調した。

政府の食糧危機対策部、国連機関、NGOとが共同で行動を起こすことは、この危機に対処する上で不可欠な要素である。今月初めに提出された、改訂版の緊急アピール(Flash Appeal)では、年末までの緊急事態に対応するため8,090万ドルを要請し、国連人口基金はニジェール全地域で被害を受けた保健センターで緊急産科キットを購入するため40万ドルを要請した。

国連人口基金はすでに首都ニアメー(Niamey)に緊急支援対策調整部を設置し、ダカールから地域アドバイザーと国内の専門家を呼び、カントリー・チームを強化している。国連人口基金と保健省スタッフ合同で食糧危機の情報を収集する評価ミッションが今月実施された。国連人口基金よりアンケートが策定され、世界保健機関(WHO)と保健省が、最も被害を受けた地域の保健医療のニーズを評価した。

先月、国連人口基金とニジェール政府は、国内で最も大きな被害を受けた地域ジンデル(Zinder)とアガデズ(Agadez)の二ヶ所における、妊娠中、または授乳期の母親を支援するための約10万ドルを拠出する財政協定を結んだ。保健センターを訪れる女性にはマラリアを予防するための薬剤が含まれている蚊帳が提供される。マラリアは妊娠中の重い貧血や低体重の新生児の原因となることがある。安全な出産のためのビニールシートや手袋、注射器、薬、医薬品が入った基礎産科キットも配布される。

世界食糧計画(WFP)、国連児童基金(UNICEF)、ヘレン・ケラー・インターナショナルからは追加して援助資金が提供されている。合意の下、葉酸や鉄分、ビタミンAといった栄養補助食品、274トンのシリアルと75トンの豆類、19トンの油が提供される予定である。保健省では、地域および地元レベルで、さらにパートナーNGOにより栄養補助食品が配布される。ビタミンAや葉酸、鉄の欠如は出産時に妊産婦とその乳児に、低体重や大量出血、敗血症に影響を及ぼし、深刻な場合には母子に死亡に至らせることもある。

栄養不良の状態により、下痢やコレラなどの病気が発生し増大した村もあった。支援を実施するパートナーたちは今回の食糧危機被害を受け、将来の緊急事態とそれにともなって起こる健康問題に対応するためのヘルスケアと資金返却システムについて、今月初めに協議の場が設けられた。6ヶ月以内に行動計画が導入される予定である。

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津波の被害を受けたタイの移民コミュニティーにおける調査で、リプロダクティブ・ヘルスケアの深刻なニーズが判明。

2005年8月30日
タイ、プーケット

国連が支援する調査によると、昨年の津波で被災した地域に住んでいる移民は、妊産婦と子どもを対象とした保健医療サービスや家族計画、HIV感染予防のための情報へのよりよいアクセスを現在も必要としている、ということが判明した。

パンガーおよびラノーン地区に暮らしているミャンマーからの移民は、4人に1人の母親が専門技能者の立会いなしの出産を行い、全乳幼児の55パーセントが予防接種を受けていない、全既婚女性の半分が避妊具を使用していない、調査に応じた成人の半分がHIV拡大について誤った知識を持っているといった状況である。さらに、3分の1の未婚の移民男性はコンドームを常に使わずに買春している。

これらは、マヒドン大学人口調査研究所(Mahidol University's Institute for Population and Social Research)が国連人道問題調整局(OCHA)と国連人口基金(UNFPA)からの資金協力を得て6月に実施され、700人の移住者を対象とした調査で分かったことである。これらの調査結果は、ヘルスワーカー、地元の当局、地域ボランティアが参加したセミナーで発表された。

この調査結果では、ワールドビジョン・タイと、UNFPAが支援する地区の公衆衛生局が行なった、クラビ、パンガー、プーケット、ラノーンに暮らす移民とタイのコミュニティーで行われている巡回医療チームや保健教育活動の必要性を裏付けた。ワールドビジョンは、移民のために、ビルマ語を話す医療スタッフを雇い、コミュニティーでの巡回サービスの実施を目的とした訓練を地域ボランティアの代表に対し行なっている。

移民労働者は、地域の漁業、建設業、ゴム園において欠くことのできない役割を果たしている。いくつかの移民コミュニティーは、12月26日の津波で大きな打撃を受けた。多くの移民が、災害直後ミャンマーへ戻ったが、その一方で、新しい労働者が、絶え間なく流入していた。

調査対象となった移民の半数以下は、法律上登録されており、タイ市民と同様に、安価な国民皆保険の対象となる権利が与えられている。しかし、登録されていない人々は、高い医療費と国外退去の恐れから、公立診療所や病院を避けているとの報告がある。移動診療所は、重症患者を病院に照会するという責務があるため、ヘルスワーカー間でも、この状況は問題であると話されている。

調査された人々の半数は20代で、ほとんどの女性と約半数の男性は結婚しており、未婚男性は、売春街のある漁業コミュニティーに集まっている。4人に1人の女性が、最初の子どもを20歳前に産んでいる。

国連人口基金は、ワールドビジョンとタイの地元当局を支援し、津波被災後のコミュニティー再建の計画に、リプロダクティブ・ヘルスに関するサービスと情報が含まれていること保障するよう働きかけている。国連人口基金ではさらに、タイ赤十字・エイズ・リサーチ・センター(Thai Red Cross AIDS Research Centre)が行なう被災地におけるHIV/エイズおよび他の性感染症の蔓延を減少させるための活動を支援し、より安全な性行動およびコンドームのソーシャル・マーケティングを促進している。

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