プレスリリース 2006年4月

国連人口基金(UNFPA)、家族計画のための資金減少傾向を見直すべきだと指摘

2006年4月3日
国連、ニューヨーク

世界各国の家族計画の促進のための資金が緊急に、そしてもっと多く必要とされている。活用できる財源がなければ、開発途上国の2億人の女性たちが「自らの家族の人数を決定する」という人権を行使することができず、望まれない妊娠と人工妊娠中絶の発生数は増えつづけることになるだろう。これは、女性と子供たちの命を、そしてミレニアム開発目標の達成を、リスクにさらすことにつながる---と、国連人口基金(UNFPA)事務局長のトラヤ・オベイドは指摘する。

4月3日に開催された人口開発委員会(経済社会理事会の機能委員会の一つ)で、オベイド事務局長は、「この5年で人口関連問題への資金援助は2倍になりました。しかし内訳を見てみると、家族計画を対象とする援助は、1995年には人口関連分野の過半を占めていましたが、2004年には10%以下になってしまいました」と述べた。

人口関連問題の援助全般は増加しているが、今日のニーズの大きさを考えると充分とは言えない。その多くが少数の支援国によるものであり、しかも、近年ではかなりの財源がHIV/エイズ対策費に特定されるようになっている。これは、HIV/エイズ以外の重要な分野、つまり家族計画対策費などから財源を移すことでまかなわれているのが現状である。

人口関連問題へ投資することは、移民などの国際人口移動の解決への糸口となる。事務局長オベイドの発言を引用すれば、「今日、家族計画のニーズが最も満たされていない地域はサハラ以南のアフリカ諸国です。この地域では、4人に1人の既婚女性が、希望しているにもかかわらず、家族計画サービスを享受できないのです。そして、これらの国々は同時に、貧困と人口増加において、世界で最も高い率を示しています。貧困と人口増加は、しばしば人々を移民に追いやる要因となるのです」。

国際移民のほぼ半数は女性であり、その多くがジェンダーによる差別、暴力、さらには虐待の危険にさらされている。最悪の場合には、悲惨な人身売買の犠牲となることもある。「だからこそ、各国は一刻も早くジェンダーと人権の観点を移民政策に取り入れると共に、人身売買を阻止し、人身売買関係者を適切に処罰するために各国が協力する必要があるのです」と事務局長オベイドは指摘した。

多くの開発途上国では、医療保健関係者が先進国に移住してしまう傾向があるため、保健分野で深刻な人材不足が起きている。この状況は、HIV/エイズ問題が猛威をふるっている国々で特に大きな負の影響をもたらす。移民受入国は、移民の出身国である開発途上国に対する開発援助を教育・訓練の分野、特に保健医療教育・訓練に割り当てることで、この問題に対処することができる。

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パキスタン地震から半年ー国連人口基金は被災地に不可欠な保健サービス支援を継続中

2006年4月7日
パキスタン、イスラマバード

2005年10月8日、パキスタン北部およびパキスタン側のカシミール地域で起きた地震はマグニチュード7.6の巨大なもので、死者8万人以上、負傷者は14万人以上、家を失った人々が350万人と言う、甚大な被害をもたらした。地震発生から半年が経過したが、現在も支援へのニーズは非常に高い。国連人口基金(UNFPA)ではこれを受け、被災者、特に女性や思春期の少女たちを対象とする保健分野での支援を継続している。

国連人口基金の被災地支援について、「インド洋津波被害など、世界のさまざまな災害被災者支援での経験から、こうした非常事態においては女性と少女たちが特に大きな影響を受けることがわかっています。こうした女性たちの状況に焦点を当て、また当初の緊急支援から復旧、復興と進む事態の推移を勘案した支援が必要なのです。パキスタンの地震被災地でも、国連人口基金は女性たちの差し迫った保健面のニーズに対応するだけでなく、生活とコミュニティの再建において、女性たちが主体的に関われるようにするための活動を行っています」と、国連人口基金事務局長トラヤ・オベイドは強調している。

現地の保健行政担当者や地域の人々によれば、保健医療サービスは被災直後に比べかなり改善されている。これには、国連人口基金や世界保健機構(WHO)を始めとする多くの組織の協力が役立った。ほとんどの被災した地域では、保健インフラの損傷が激しかったので、国連人口基金の移動サービスユニット (MSU)がコミュニティに基礎的な保健サービスを提供しつづけている。9隊のMSUとプレハブ建ての5箇所の保健センターで、これまでに15万 6,000人以上の人々が治療やサービスを受け、1200件の出産が行われた。また、MSUやプレハブの保健センターでは適切に処置が覚束ない、より高度な治療が必要な場合には、患者をもっと設備の整った医療施設に紹介する措置が取られるが、こうしたケースも2400件以上に上っている。

この他にも国連人口基金はさまざまな活動を行っている。 国連人口基金は保健省(中央政府と地方自治体のいずれも)と協働し、プレハブの保健施設を建設中である。現行のものに加え、10の移動式クリニックと13のプレハブ保健施設が今後提供されることになっている。

また、現地のNGOと協力し、コミュニティに女性と思春期の少女たちのための特別の"スペース"を確保する活動を進めている。この"スペース"は、女性と少女たちが安全に、そして安心して、情報を得たり意見交換をしたりでき、識字教室や技術訓練などが実施され、法的なサポートや心理社会的なカウンセリングなどが受けられるセンターとなる。

被災地の女性と少女たちを対象にした国連人口基金の「衛生キット」は既に210,000個以上が配布された。このキットは女性の衛生ニーズに則して、せっけんやタオル、くし、清潔なシーツ、生理用品などをパックにしたものである。

女性の衛生ニーズへの対応は衛生キット配布にとどまらない。現地のNGOとの共同プロジェクトとして、女性のためのハマーム(プレハブ建ての公衆浴場)を建設している。女性たちの安全が確保され、プライバシーや照明などにも配慮がされる。このハマームは保健施設の近隣に建てられるので、女性や少女たちが訪れやすく、利用しやすいようになっている。

国連人口基金は自然災害や紛争に対応する人道的支援において、女性や若い世代に特有のニーズが援助の計画段階、また実施段階で確実にプログラムに入れ込まれるように活動し、関係者に働きかけを行う。パキスタンの地震被災地では、国連人口基金はリプロダクティブ・ヘルスを優先課題として、安全な出産を支援し、女性や思春期の少女たちの心理社会的なニーズに対処することを目指している。

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2006年の国連人口賞決まる ―栄冠はバングラデシュの医師とハイチの家族計画サービスNPOに

2006年4月13日
国連、ニューヨーク

今年の国連人口賞は、バングラデシュのベテラン家族計画医、Halida Hanum Akhter医師とハイチの「リプロダクティブ・ヘルスと家族教育財団」(FORSREF)が受賞することに決まった。国連人口賞とは、世界各国で人口問題に取り組み、人々の健康と福利の向上のために優れた業績を上げた個人や組織に毎年贈られる賞である。

国連人口賞選考委員会は議長のJudith Bahemuka大使(ケニア)のもと、一国の政策決定者、研究者、ヘルスワーカーなどの27組の候補を審査し、受賞者を決定した。この選考委員会は国連加盟国10国の代表で構成され、国連人口基金(UNFPA)が事務局を務めている。受賞者は賞状、金のメダルと同額の賞金を受け取る。授賞式はニューヨークの国連本部で6月7日に開催される。

バングラデシュのAkhter医師は「バングラデシュ家族計画協会」の事務局長でもある。同協会は1953年設立で、選考委員会に提出された文書によれば、世界の家族計画団体の中でも最も古いもののひとつである。Akhter医師はまた、シアトルに本部を置く「保健における適正技術プログラム」(PATH)の理事も務めている。Akhter医師はその30年間に及ぶキャリアを通じて、リプロダクティブ・ヘルスに関するプログラムや技術を研究し、また実地に生かしてきた。1986年には「基本的健康とリプロダクティブ・ヘルス並びに関連技術促進研究所」(BIRPERHT)を設立し、バングラデシュにおける避妊薬(具)の使用効果や、リプロダクティブ・ヘルスサービスやニーズに関する重要な調査研究と、妊産婦死亡のアセスメントに携わってきた。

もう一方の受賞者であるFOSREF(Fondation pour la Sante Reproductive e l'Education Familiale)は、ハイチのリプロダクティブ・ヘルスと家族生活の向上に尽くしてきた民間の非営利組織である。1988年に創設され、26のセンターのネットワークを駆使して120万人以上の人々にリプロダクティブ・ヘルスケアを提供している。FOSREFは500人の教師と6,500の若い人材にリプロダクティブ・ヘルスについての基本的訓練を施し、3万人の若いボランティアで組織されたネットワークを用いて、HIV/エイズを含むリプロダクティブ・ヘルス関連情報をハイチの人々に広めている。選考委員会が入手した資料によれば、こうした活動によって、現在では3万人あまりのハイチ人が避妊薬(具)を使用するようになり、望まれない妊娠およびHIV/エイズへの感染が相当数減少したことがわかっている。

選考委員会のメンバーは、国連経済社会理事会によって3年ごとに選出される。現在のメンバーはアルジェリア、バングラデシュ、ベラルーシ、カメルーン、ガイアナ、ハイチ、イラン、ケニア、オランダおよびペルーから選出されている。加えて、コフィ・アナン国連事務総長と、国連人口基金事務局長のトラヤ・オベイドが職務上の担当メンバーとなっている。

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Last updated: 2006-04-01